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お稚児さんは歩かない!? パンツは白! 〜祇園祭のヒミツ〜

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7月の京都といえば、もちろん「祇園祭」。

町中にコンチキチン♪とお囃子が流れると、京都人はウキウキそわそわ。お店のディスプレイなども祇園祭仕様に変えられ、市街地はお祭りムード一色に包まれます。

日本三大祭の一つにも数えられ、今や海外にも知られる祇園祭ですが……ご存知ですか?神様のお使いである「お稚児さん」がどうやって選ばれているのか。どんな人が参加しているのか。

今回は、そんな祇園祭にまつわるちょっとしたヒミツを、長刀鉾保存会の方に伺ってみました。

祇園祭ってどんなお祭り?

祇園祭は素戔嗚尊(スサノヲノミコト)を祀る八坂神社の祭礼で、古くは祇園御霊会(ごりょうえ)と呼ばれていました。

その始まりは、今から1100年以上前の貞観11年(869)年。

都をはじめ全国で流行した疫病を鎮めるため、神泉苑に当時の国の数にちなんだ66本の鉾を立て、祇園の神を迎えて厄災の除去を祈願したことに由来します。

平安中期からはより大規模になり、室町時代には現在のような特色ある山鉾が各町に登場。応仁の乱(1467~77年)で一時期途絶えるものの、町衆の手で再興され、現代までその文化・伝統が守られてきました。

お祭りのクライマックスとして知られる山鉾巡行は、2日間に分けて行われ、「前祭」(さきまつり)は17日9:00〜、「後祭」(あとまつり)は24日9:30〜。

前祭の宵山期間(7月15・16日)は、四条烏丸一帯が歩行者天国となり、夜店なども出店されて賑わいます。

お稚児さんはどうやって選ばれているの?

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山鉾巡行の開始を告げる「注連縄切り」をはじめ、さまざまな神事を務めるのが、祇園祭の花形ともいえる「お稚児さん」。

かつてはほとんどの山鉾に乗っていましたが、現在は人形がその役を務め、「生き稚児」が乗るのは長刀鉾だけになっています。

そんな祭の大役を担うお稚児さんが選ばれるのは、6月中の大安の日。長刀鉾町と養子縁組をして結納が贈られ、氏子となって祭に参加します。

気になる選定基準はというと……だいたい次の五つの条件をクリアした男の子が選ばれるそうです。

(1)長く京都市内に住んでいる老舗の子息で、(2)小学3年生〜中学1年生くらいの体重が重すぎない子。(3)祭に理解があり、(4)神事を欠席しないのはもちろんのこと、(5)家族全員がその子を支えることができるかどうかも重要な基準だといいます。

では、該当者が「僕やりたい!」と立候補するのかといえば、そこは奥ゆかしい京都の気質。周囲からの声かけや推薦で候補者が選ばれることが多いそうです。

 

神様のお使いになったお稚児さんの生活は?

お稚児さんの生活が変わるのは7月13日の「社参の儀」から。この儀式でお稚児さんは正五位少将の位と十万石大名の格式を授かり、正式に神様のお使いになります。

これ以降は精進潔斎のため、食事もお風呂も寝るときも、お稚児さんの身の回りの世話をするのはお父さんやおじいちゃんなどの男性のみ。ご飯を食べるときや着替える際は、まず火打ち石で打ち清めるのがしきたりだそうです。

そして社参の儀や鉾への乗降の際は、お稚児さんは「強力(ごうりき)」と呼ばれる人に担がれ、地面に足をつけません。さすがは神様のお使いですね。

ちなみに、巷では「お稚児さんを務めるにはウン千万かかる」といわれますが……。確かに昔は衣装一式を家で揃えたりしなければいけなかったため、大変だったようです。現在は「結納金も贈っており、衣装も用意があるので、神事自体にはそれほどお金はかからないと思う」とのこと。ただ、お稚児さんを務めるという名誉から、家の体裁を整えたり、お披露目をしたりと、費用をかける場合もあるようです。

 

祭りの参加者はどんな人?じつは意外なルールも

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祇園祭は、お囃子を奏でる「囃子方」、巡行の際に山鉾を曳く「曳き手」など、たくさんの町衆の手で支えられています。

長刀鉾町には、95人の囃子方がおり、うち3分の1がなんと稚児or禿の経験者だとか。祭期間中だけでなく、1年を通じて月1回は必ず集まって練習し、伝統を伝えているそうです。

一方、同町で曳き手を務めるのは55人の男衆。半数は四条繁栄会の50歳未満の男性、もう半数は「京都・祇園祭ボランティア21」の方だそうです。

そんな彼らには、本番にしてはいけないいくつかの決まり事があります。

「染髪NG」「装飾品は身につけない」「休憩中もタバコは吸わない」「曳き綱はまたがずくぐる」なんかはもちろんのこと、意外なところでは「下着は白無地」という指定も!確かに祇園祭は由緒ある神聖な祭事。派手な柄パンだったら……ちょっと嫌ですよね。

 

知れば知るほど面白い祇園祭。繰り出せばもっと面白い発見が見つかるかも。

今年はぜひ支える人々にも目を向けて楽しんでみてくださいね。

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