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レトロ・クラシックな京都の近代建築をめぐる旅 京都府庁旧館

f:id:kyotoside_writer:20180624224437j:plainお城のようなこの立派な建物。どこにあるかご存知ですか? 実は、こちら京都府庁旧本館なんです。明治37年に日本で3番目に建てられた庁舎で、今も使用中。なのに中に入って見学することもできちゃうし、結婚式や前撮り、音楽会なんかも出来ちゃうんですよ。京都府に長年、住んでいながらも京都府庁を見たことがない&訪れたことがないという方、多いのではないでしょうか。ぜひぜひ、この機会に訪れてみませんか?

 

現役の官公庁建物としては日本最古

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丸太町通側からみた京都府庁旧館。まるで西洋のお城のよう


京都府庁旧本館が建てられたのは明治37年。東京府庁(当時は東京府。明治27年)、兵庫県庁舎(明治35年)についで3番目に建てられた庁舎。昭和46年まで現役の本館として使われ、現在もちゃんと執務室や会議室として使用されています。創建当時の姿をとどめる現役の官公庁建物としては日本最古のものなのだそうです。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624224429j:plain設計は松室重光。この方、右京区の月読神社の神官の家柄に生まれ、帝国大学大学院に在籍中に京都の委託技師に任命されたという秀才。しかも26歳という若さで府庁舎建設計画に参加するのです。琵琶湖疎水を作った田辺朔郎といい(当時23歳)、この時代は若くて優秀な人をよく起用したんですね。ちなみに松室重光の師匠は東京駅や奈良ホテルなどを作った辰野金吾。そういわれてみれば、なるほど…という感じがします。

 

京都府庁旧本館はネオ・ルネサンス様式の名建築

f:id:kyotoside_writer:20180624224437j:plain2階にはマニアックなほど京都に詳しい「NPO法人京都観光文化を考える会・都草」さんが常駐。案内をしてくださいます(詳しくは文末を)。今回は特別に理事長の小松香織さんに案内していただきました。

どことなくヨーロッパのお城を思わせる旧本館は、ネオ・ルネサンス様式の名建築といわれています。正面は左右対称になった横長の建物で、前には「ザ・洋館」といった風貌の車寄せ。上は石づくりのヴェランダが付けられています。子供の頃、こういうヴァルコニーに憧れたなあ。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624224750j:plain屋根は「マンサード」といわれる形をした3つの屋根が付いて中央が一番高く、一番上にドーマー(採光用の窓)があり、ペジュメント(破風)には見事な装飾が施されています。正面に立って見れば見るほど細かい細工が施されているのがわかります。

 

超フォトジェニックな白亜の階段

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入口のアーチがインド風というか、ちょっとお寺っぽい?

そして入って正面にあるのが、この建物のハイライト、大理石の階段です。この階段、どこから見ても美しくてステキなんです! 訪れた日は結婚式の前撮りをしていて正面から撮れなかったのですが、吹き抜けの階段の正面に大きな窓。階段は左右に分かれ上がっていきます。

 

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丸く面取りされた階段。丸い鉄の輪はレットカーペットを敷くためのもの

f:id:kyotoside_writer:20180624225115j:plain小松さんによると、ここで朝の連ドラ「わろてんか」やドラマ「坂の上の雲」などの撮影もされたそうですよ。ピン!と来られた方、いらっしゃるでしょうか。

 

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二階の廊下は赤絨毯敷

この京都府庁旧本館の魅力は、庁舎と府議事堂が一体化していることなんですって。そのスタイルは非常に珍しく建設当時、全国の自治体が見学に多数、訪れたのだとか。それを聞くとちょっと誇り高い気分になります。ちなみに今いるのは庁舎の方。

 

あちらこちらに隠されたデザインや建物のヒミツを探せ!

f:id:kyotoside_writer:20180624225223j:plain先ほどの廊下の右側にあるのが、式典や公式行事が行われてきた最もシンボリックな部屋「正庁」。この部屋の特筆すべき点は天井。真ん中は漆喰塗で鏝絵が施されていますが、周囲は日本的な折上小組格天井なんです。木工工事の多くを宮大工であった三上吉兵衛が担当していたと聞いて、なるほどです。そして重厚な雰囲気の中、中央の丸窓が軽やかな雰囲気を出しているのですね。ちなみに中央のドアを開けるとヴァルコニーになっています。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225253j:plain旧本館は竣工110周年を機に何度かに分けて修復を行っています。この壁も修復前は時代を感じさせる茶色だったのですがクリーニングによってこのような色に。素材は紙ではなくてリノリウムと似たような材なのだとか。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225323j:plainそうそう、旧本館内を歩いていると時々目にするペジュメント(破風)。小松さんに教えていただいたのですが、格が高い部屋にはペジュメントが付くのだとか。一目で、この部屋が重要な部屋であることがわかります。

 

f:id:kyotoside_writer:20180625000217j:plainところで上の写真のデザインたち。これ、みんな同じモチーフなんですよ。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624234122j:plainモチーフの元になっているのはアカンサス(ハアザミ)という花と葉。ギリシアの国花で古代ギリシア以来、建築やインテリアなどの装飾モチーフとなってきたもの。ウィリアム・モリスのデザインにもありますし、小松さんも「帯などの文様でもよく見ますよ」とおっしゃっていました。しかし、この花や葉がこうもディフォルメされるとは! 人間のデザイン力の素晴らしさに驚かされます。旧本館はこのアカンサスとリボンでデザインが統一されています。いろんなところに隠れているので、見つけてみてくださいね。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225420j:plain一番東の端が知事室。ここを使った知事は大森鍾一さんから蜷川虎三さんまでの24人。奥の窓からは比叡山や左大文字が見えました。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225449j:plainそして、部屋に設えられたこの飾り棚。よーく見ると下に「村井吉兵衛」という小さなプレートがあるんです。村井…??どこかで聞いたことがある名前だな~と思ったら長楽館を建てた方でした! 明治時代に紙巻タバコで財を成し「タバコ王」と呼ばれた人物です。

この村井氏が府庁建設のために今のお金で1億円も寄付したのだとか。この家具も寄付の一つで、東京築地にあった杉田屋のもの。杉田屋といえば明治期最大の高級家具製造業者で政官界や宮家、富豪の家具を調達したことで知られています。村井氏が寄贈した杉田屋の家具はあと2つあるそうなので、こちらも要チェックです。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624235119j:plainそして、小松さんに教えていただいて、びっくりしたのが暖炉の上のこの小さな切り口。よーく見るとですね、レンガが見えるんです。府庁は石造りかと思ったら、擬石モルタルなんですね。屋根の骨組みは木造、車寄せは石造りですが、その他の構造はレンガなんです。ここから見えるのが、その構造部分。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225528j:plainそれから各部屋に付いているスチームラジエーター。前回の大山崎山荘にも各部屋にスチームが付いていて驚きましたが、旧本館にもあったとは! イギリスから船で4つのボイラーを輸入。セントラルヒーティングになっていたそうです。京都の冬は寒いですからね~。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225613j:plainさて旧本館は中庭を囲むように口の字型に作られて、南側が庁舎、北側に議場があり、ぐるりと一周歩くことができます。廊下の端の黒いのはリノリウム。学校や病院の廊下、ダンススタジオの床なんかにも敷いてあるアレです。元々は床張りだったようですが、昭和3年の昭和天皇の即位の礼の際にリノが張られたようです。こんな歴史がある年代もののリノを間近でみられるとは。そっと押してみたのですが、現在のものよりずっと硬い印象がしました。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624235032j:plainまた、中庭に向いた窓からは屋根が良く見えるんです。旧本館の屋根はスレート葺き(一部、銅板)で、宮城県雄勝産の石を使っています。東京駅のスレートも同じもなのだとか。

 

2つの顔を持つ京都府庁旧本館

f:id:kyotoside_writer:20180624225809j:plain1階へ降り、いよいよ議場へいってみましょう。議場の裏はこんな風に柱が立つロマンチックな雰囲気。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225829j:plainひんやりとした石と漆喰の雰囲気のせいか、ヨーロッパの修道院にいるような気分になります。中庭には沢山の桜の木が植えられていて春はピンク色に染まるのだとか。ちなみに庭は平安神宮などの庭を作った明治の大作庭家・小川治兵衛の手になるもの。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624225850j:plainここから先が旧議場。よくみると奥の方の壁は切り込みが入っています。これにより、ここが正庁と異なる場だということを表わしているそうです。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624230001j:plainこれが旧議場ですか! きらびやか~! まるで豪華客船にいるみたいです。2階の回廊は傍聴席。1階の議員席は5段になっていて、3段までは足元にスチームが入っていたのだとか。

 

f:id:kyotoside_writer:20180624230019j:plain正面の議長席の後ろには、アーチ型をした「アルコーブ」が。カーテンのコサージュの数も忠実に再現しているそうです。そして見事なのは、修復の折に塗りなおされた漆喰壁。京都の左官職人さんの技が光ります。

 

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議長席の下には通気口が。開け閉めして空気を入れ替える

 

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美しいシャンデリアはこの度の修復で複製されました。全部、職人さんによる手仕事なんですって!

 

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コーナーのニッチもアカンサスデザイン

2階のカーテンは当時と同じく川島織物さんで復元。川島織物さんに当時の資料が残っていて、それを元に復元されたそうです。

 

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旧議場の正面玄関。正面には格の高い松が植えられている


ぐるっと回り旧議場の正面へ。デコラティブで華やかな南側の庁舎の正面と違い、飾りのない重厚な雰囲気です。

まだまだ府庁旧本館の魅力は尽きないのですが、今回はこの辺で~。ぜひ、実際に訪れてご自身の目で確かめてくださいね。

 

 

京都府庁旧本館

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

℡ 075-414-5432 京都府庁旧本館案内所(特定非営利活動法人京都観光文化を考える会・都草

開 火~金曜、土曜(第1、3、5)の10:00~17:00※祝日及び年末年始を除く。
公開場所 知事室、旧食堂、正庁、旧議場(旧本館内)※但し、「正庁」及び「旧議場」は、府の事業による使用で御見学できない場合があります。(お問合わせ:075-414-5435)

 

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