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紅葉散策の前にチェック必須!全部同じではない“木の個性”知ってた?

ぐんと気温が下がってきた今日この頃。秋の深まりとともに木々が色付きはじめ、紅葉が楽しみになってきましたね。みなさん紅葉散策の計画は立てていますか?
今回は樹木のスペシャリストである「森の案内人」三浦豊さんに、秋の紅葉散策がもっと楽しくなる3つのポイントを伺いました。

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「森の案内人」とは?

「森の案内人」ってどんなことをする方なのか気になりますよね。森の案内人・三浦豊(みうらゆたか)さんは、京都市出身のネイチャーガイド。実はKYOTO SIDEに登場してくれるのは今回で2回目なんです。
元・庭師でもある三浦さんの樹木についての知識量はとても豊富! 1年を通して主宰される日本各地の森林や樹木観察会の「森ツアー」は、参加者から「植物の見方が変わる」と驚きと感動の声が届くほど満足度の高いツアーとして人気を博しています。日本全国の森や自然にまつわるお話を、樹木の視線で語ってくれる魅力的な案内人なんです。

三浦さんと行った森ツアー@城陽市の記事はこちらから▼

www.kyotoside.jp

ポイント① 紅葉(もみじ)の語源を知ろう

秋になると目を奪われるほど真紅に染まる草木たち。その美しい景色にうっとりしながらも、ふと紅葉(もみじ)とカエデの違いや、その語源について疑問に思ったことはないですか? そんな疑問を解消していただくべく、三浦さんに伺ってみました。

(上:イロハモミジ 左下:オオモミジ 右下:ヤマモミジ/写真提供:三浦 豊)

実は紅葉(もみじ)とカエデはどちらも同じカエデ属で分類上は同じ植物なのだそうです。カエデ属は25種類以上もあり、高山帯から海岸まで広い範囲で生息しているのだとか。その中でも人里に近いところに生える「イロハモミジ」「ヤマモミジ」「オオモミジ」の3種類が「もみじ」と呼ばれるようになったのではないかと考えられています。

では、なぜ「もみじ」と呼ばれているのか?
そもそも「もみじ」とは、秋になると気温が下がり、植物が葉などで自分の体を揉み、赤や黄に色付く様子を表す「揉み出づ(もみいづ)」や「もみづ」に由来するそうです。その「揉み出づ(もみいづ)」や「もみづ」の状態にあることを「もみじ」と呼ぶようになり、昔は「カエデのもみじが美しい」「ケヤキのもみじが美しい」などという言い方をしていましたが、カエデのもみじが圧倒的に美しかったことで、身近にあった「イロハモミジ」「ヤマモジ」「オオモミジ」自体を「もみじ」と呼ぶ ようになり、それが転じて「紅葉(もみじ)」となったのではないかといわれています。

ポイント② 意外とドラマチック!? な木の個性を知る

木々の新緑も美しいですが、なぜ日本人はこんなにも紅葉に心躍らせるのでしょうか? 
三浦さん曰く、それは日本人の美意識としてある「うつろいの美学」に関係しているのではないかとのこと。
紅葉とは樹木の営みの中にある美しいひとときであり、それは意外とドラマチックな時間でもあるそうです。

紅葉する木のほとんどは、冬に葉を落とす落葉樹です。
葉は光合成を行なって栄養分を作り出していますが、日光不足や気温が低いと作り出すエネルギーよりも使うエネルギーの方が上回ってしまいます。そのため、急激な寒暖差や光合成に適さない季節は、葉をつけていても非効率で割に合わないのだとか。すると、木は非効率な葉を落とそうとして、その時に光合成に必要だった緑色(クロロフィル)の色素を止めてしまうことで、普段は目に見えていなかった黄色(カロチロイド)や赤(アントシアニン)の色素が目立ち「紅葉」するそうです。
つまり、紅葉とは葉が命の散り際に見せるひとときの美しい光景なのです。

そして、紅葉するタイミングにも、1本1本の木にドラマがあるのだとか。
森や街中の木をよく見ると、同じ環境にある同種の落葉樹でも真紅に染まっていたり緑の葉をつけたままだったりと、紅葉するタイミングが異なっていることがありますよね。これはまさに木の個性によるもので、「十分栄養を蓄えたので、そろそろ散ろう〜」とする木や、「いやいや、もうひと踏ん張り!!」とド根性で精一杯光合成をしようとしている差なのだとか。なるほど、そう思うと紅葉に差が見られる理由もイメージしやすいですね。

また、森の中では日当たりが良い高木から紅葉し落葉していくのですが、この時、地面に近い低木はまだまだ栄養が足りないため緑の葉で頑張っているのだそうです。この様子はまるで大きい木が早めに落葉し、小さな木に陽の光が当たるように気を使っているようにも見えますよね。
これには理由があって「大きい木は小さな木にも元気でいてもらわないと困る」のだそうです。

森の仕組みとして、堆積した落ち葉を動物や微生物が分解することで土の栄養源となっていきます。この時、自分が落とした葉だけでは良い土が育たないのだとか。それはなぜかと伺うと、面白い考え方を教えてくれました。

「そもそも生き物って自分の排泄物を汚いと認識するんですよね。例えば、僕らも唾液が口内から出た瞬間“汚い”と思いますよね。それを再び口には戻さない。木も同じように自分の落ち葉は自分の食べ物にはならない」

森の土は、いろいろな草木の落ち葉が集まることでさまざまな菌類を育て、初めて養分として取り込まれるものなので、1本の木だけが大きく育っても土はうまく育つことができないのだそうです。
つまり、どんなに日光を多く浴びても1本の木が一人勝ちすることはできないのだとか。それならば十分に栄養を蓄えた高木が、低木に光が当たるように早く落葉するのは、効率的で尚且つ思いやりのある森の仕組みだと言えますね。

(左:桜 中:銀杏 右:欅/写真提供:三浦 豊)

そんなドラマチックな木の話を聞くと、紅葉の見方も少し変わってきそうです。せっかくなので、三浦さんに京都府で見られる身近な落葉樹について教えてもらいました。
街中でよく見られるのはイロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジの他、サクラ、イチョウ、ケヤキなど。白い花が印象的なハナミズキは木を覆うように紅葉する姿が美しく、トウカエデは並木としてよく植えられており、鮮やかな黄色やオレンジ色が美しい紅葉を見せてくれるそうです。

ポイント③ 見つけられたら超ラッキー! レア紅葉

身近な落葉樹を聞いたら、ちょっとレアな落葉樹も知りたくなりませんか? もちろん聞いてみました!

(写真提供:三浦 豊)

【ニシキギ】紅葉すると葉の色が真っピンクに染まり、その鮮やかな美しさから「錦」に例えられ命名された落葉低木。寒い地域で栽培されていることが多く、京都ではあまり見ることがないので見つけたらラッキーな紅葉です。

(写真提供:三浦 豊)

【マルバノキ】丸みを帯びたハート型の葉っぱが可愛い落葉低木。紅葉の時期には葉の色がピンクや紫、赤色と一枚一枚異なり、まるでステンドグラスのような色づきを見せてくれます。京都では大原の三千院で見ることができます。

(写真提供:三浦 豊)

【イタヤカエデ】日本に自生しているカエデの中で一番大きくなる落葉高木。15cmほどの大きな葉が特徴で、紅葉時には葉の色が黄色く色付きます。東北など北の方に多い植物ですが、京都の比叡山山頂あたりでも見ることができます。

(写真提供:三浦 豊)

【フウ】楓と書いて“フウ”と読む中国・台湾が原産の落葉高木。とても大きく育ち、秋には黄色から紅色に色付きます。フウの大木が紅葉する姿はとてもゴージャスで、まるで“紅葉のクイーン”のよう!京都府立植物園では樹齢約100年のフウの大木の紅葉を見ることができます。

(写真提供:三浦 豊)

【目薬の木】樹肌を煎じると目薬になる日本の固有種。紅葉時には葉の色が鮮やかなピンク色になります。やや標高が高めの渓流沿いなどで見ることができ、京都では丹波・丹後地方をまたぐ大江山などで見ることができます。

(写真提供:三浦 豊)

【ムラサキシキブ】紫の小さな実がふさなりに付く日本原産の落葉低木。野山などに自生しており、秋には黄色く紅葉し紫の実との美しいコラボレーションが楽しめます。京都府ではいたる所の野山で見ることができます。

レアな樹木の存在を知ると、ついつい探してしまいそうですね。

今回の紅葉の愛で方と秋散策のポイントはいかがでしたか? これまで秋の風物詩として楽しんでいた「紅葉」ですが、樹木にとっては春を迎えるための営みのひとつ。当たり前といえば当たり前ですが、改めてハッと気付かされた気がしました。
今年は木の個性を感じながら、「紅葉」を愛でに出かけてみませんか?

■■取材協力■■
三浦 豊(森の案内人)
HP:https://www.niwatomori.com/
※森ツアーの案内やお問い合わせはホームページをご覧ください。

 

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