2025年6月16日、京都市にある世界遺産・仁和寺にて、食の国際交流イベント「おいしさでつながる世界」が開催されました。
これは、大阪・関西万博と京都を結ぶフラッグシップ・アクションの1つである、「和食と世界の食サミット」の取り組みで、メインテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を、国内外のトップシェフらがドリームチームを結成して具現化したものだそう。
今回、KYOTO SIDE編集部もそのレセプション会場へお邪魔してきましたので、その貴重な現場をレポートします!
※記事中の情報はすべて2025年10月時点のものです
いざ、仁和寺へ!錚々たるメンバーが一堂に会した食の祭典
今回の会場となる、世界遺産・仁和寺は、代々皇族が門跡を務めた真言宗御室派の総本山。重厚な造りの二王門や、慶長年間の御所の紫宸殿を移築した金堂(国宝)など、数多の見事な建物を擁する格式高い大寺院であり、今回のイベントはその仁和寺御所庭園の中にある「黒書院(くろしょいん)」で行われました。
「おいしさでつながる世界」は、日本の食文化の魅力と、それらを支える人々や企業の取り組みを世界に発信し、日本食・食材のさらなるファンを増やすべく、“最高峰のおいしさ”を提供するイベントです。
マスコミのほか、海外からのゲストなど、会場内は人でいっぱい。料理人たちの姿も多く見かけました。
海外からは、アメリカからカイル・コノートン氏(左)、フランスからマウロ・コラグレコ氏(中央)、タイからチュダリー・デバカム=タム氏(右)の3名が参加。いずれも自分たちで農場を持ち、その農場の食材を使った料理を作る環境再生型の農業を行うスーパーシェフたちです。
国内からは(※以下、敬称略)、髙橋拓児(木乃婦3代目)、髙橋義弘(瓢亭15代目)、村田知晴(菊乃井4代目)、栗栖熊一(たん熊北店4代目)、荒木裕一朗(魚三楼10代目)、中村元紀(一子相伝なかむら7代目)、徳岡尚之(京都吉兆4代目)、小西雄大(萬亀楼11代目)という、次の時代の日本料理を牽引していくと言われる、京都の老舗料亭の若主人たちが参加。
これだけ大掛かり且つ豪華なメンバーによる食のイベントを世界遺産で行うということは、京都だからこそ実現できたものでしょう。
麗しい料理と次世代の日本料理を担う若手料理人の想い
今回使用された食材は、健康への意識や海洋保全等 持続可能性の観点から注目されている代替食品(海藻類)や、その地域ならでは特性を持つGI制度に登録された食材、地元・京都の食材、被災地の復興を応援するための食材などです。
これらを使って、皆さんどのような料理を考案、披露されたのか、その一部をご紹介します。
今回の見所の一つは、海外のシェフと日本の若手料理人とのコラボレーション料理です。
カイル・コノートン氏×菊乃井が担当したメニューは、華やかで味わい深い「夏野菜の煮凝り」(右)。
マウロ・コラグレコ氏×木乃婦で、目にも鮮やかで見惚れてしまう「鮪のタルト ピスタチオと枝豆のプラネリ」(左下)。
チュダリー・デバカム=タム氏×たん熊北店は、被災地の食材である能登牛を使用したスパイシーな「能登牛のラープ」(左上)。
これらはいずれも、海外のトップシェフと京都老舗の若手料理人が組んだことで生まれた、伝統の継承と革新が融合した、ここでしか食べられないメニューでした!
今回のイベントで振る舞われた京都の老舗料亭の料理も見逃せません。
瓢亭(左:上下)は、店の代名詞でもある瓢亭玉子や、もうまもなく開催される祇園祭にちなんだ笹巻寿司(粽)で、代々引き継いでいく手仕事や文化的・祭事的な要素を込めたお料理を出されました。
一子相伝なかむら(中央:上下)は、海藻類や海苔など注目されているサステナブルな食材とメイン食材である魚類を巧みに組みわせた酢の物や干瓢巻を披露。
京都吉兆(右:上下)は、“海外と日本の発酵”をテーマに、ガーリックが効いたブルサンチーズをのせた鱧寿司、ぐじを余すことなく骨まで活用して作った煮凝りなど、各店舗それぞれ個性あふれる特別な料理が披露されました。
若手料理人の方にもお話を伺いました。
有職料理の萬亀楼11代目にあたる小西雄大さんは、海外のシェフたちとの交流を通じて感じた和食や日本の食文化について、このように語ってくれました。
「フレンチとか特に、さまざまな国の方が関与しているので、料理の幅がすごく広いなと思いました。日本の料理も今後、日本人だけでなく、いろいろな人が関与する料理になっていかないと本当のグローバル化というものは進んでいかないのではないかと思います。ただ、それでこれまでの形をなくすと意味がないので、諸刃の剣と言えばそうですが、もっと広がっていけばいいなと思います」
たん熊北店の4代目の栗栖熊一さんも、
「もっと日本料理を世界中に発信していきたいと思っています。今回、タイの料理人さんとコラボレーションしたのですが、タイでは世界中の食材、例えば日本やフランス含めさまざまな国から食材を集めて料理をされていました。日本の和食にももっと、世界中の食材を取り入れていけたらと思っています」
と、今回の体験を通じて得た学びをお話しして下さいました。
海外からもますます注目を浴びている日本の伝統食、和食。
古い伝統と新しい進化、どちらも大事なものと捉え、この万博を機に刺激を受けた若手料理人らによって今後どのような変化を遂げていくのか、これからの和食が楽しみですね。
多彩なメニューが勢揃い「京都レストランスペシャル 2025」

画像:京都府 商工労働観光部 観光室
ここで、現在開催中(~7月6日〔日〕まで)の、京都×食のイベント「京都レストランスペシャル 2025」をご紹介します。
京都府内の限定店舗にて、京料理から多国籍料理、スイーツまで、多彩なジャンルの特別メニューの提供や、食に関わる伝統体験も開催。わかりやすい価格設定に加え、QUOカードPayが当たるアンケート抽選キャンペーンも行っています。
詳しくは、こちらのサイトをご確認ください。
万博期間中に京都を訪れた観光客の方々や地元の皆さんへ、多彩な京の食文化を体験してもらうためのグルメイベント。残す期間はあとわずかですが、ぜひ、京都×食の体験をお楽しみくださいね。
◾️◾️INFORMATION◾️◾️
京都レストランスペシャル2025
期間:2025年5月12日(月)~7月6日(日)
問い合わせ:075-708-3057(京都レストランスペシャル実行委員会事務局)
主催:京都市/京都レストランスペシャル実行委員会
共催:京都府
協力:(公社)京都府観光連盟
https://krws.kyoto.travel
◾️◾️記事監修 ◾️◾️
京都府 商工労働観光部 観光室