いつもの通っている道のその先に、ふと現れる不思議な扉。一歩足を踏み入れれば、そこはもう現実とは少し違う世界。森の中の一軒家、蔵の中のヒミツの部屋、住宅街に突如現れる古民家。まるで異世界に迷い込んだようなカフェで、心までふわりと解き放たれるひとときを過ごしてみませんか?
※記事中の情報・金額はすべて2025年10月時点・税込表記です。
『不思議の国のアリス』の世界へ連れていって
【与謝野町】想造区 Un son doux (アン・ソン・ドゥ)
カフェFeliz Tiempo(フェリス ティエンポ)
場所は京都府北部・丹後半島の付け根にある与謝野町。HPのアクセスページを見ると「初めて来られる方はたどり着けない場所にあります。なぜならば… ここは異次元だからなのです。」となにやら怪しげな一文が。ドキドキしながら訪ねてみると、確かに住所の場所をウロウロしてもカフェらしきものはありません。
店主の石田さんに連絡をして迎えに来ていただき、小川の横の小径を進んで行くと、目の前に現れたのは桃源郷? コスモスが咲く庭は、まるで『不思議の国のアリス』の世界へ迷い込んだかのようです。
かわいらしい庭の先には、日本みつばちの小屋があり、その奥には築130年以上の土の蔵。さらに進むと自家菜園や果樹園などが広がり、それらを含んだこの区間が「想造区 Un son doux(アン・ソン・ドゥ)」と呼ばれています。
カフェがあるのは、スペイン語で「幸せなとき(時間)」という意味を持つ「Feliz Tiempo(フェリス ティエンポ)。庭の中に立つかわいらしい土蔵で、石田さんと友人らが専門家に相談しながら2年半かけてセルフリノベーションしたものなのだとか。
入口のデッキ(写真右下)や店内にはおしゃれなソファーや薪ストーブなどが配され(写真左下)、まるで森の中に静かに立つ小屋を訪れたかのよう。2階はシェアスペース(写真右上)になっていて、仕事をしてもいいし、ヨガ教室をしたり、壁に映画を映して上映会をしたりする方もいるそうです。
カフェは1日1、2組限定。敷地内の菜園で作られる無農薬野菜や果物を中心に地元農家さんの野菜(ほぼオーガニック)を使った「木の食器で食べる洋風ランチセット」(1,400円)や……
アンティークのお膳に載せられた丹後地方の郷土料理「丹後ばら寿司セット 」(1,600円/2名から)などがいただけます。丹後地域伝統の「鯖のおぼろ」がのった「ばら寿司」は、石田さんが義祖母から教えてもらったものなのだとか。器はいずれも蔵に眠っていたものや、いただいたアンティーク。建物といい器といい、大切に使うと次世代へ受け継ぐことができるのだなあ…と実感させられます。
気候が良ければ、燃料蔵を改装した野外席で食べるのもおすすめ。季節の野菜や塩糀などの調味料で作られる料理をいただきながら耳を澄ませば、木の間を渡る風の音、葉がひらひらと落ちる音、横に流れる小川のせせらぎ、そして美しい水琴窟風鈴の音。目の前にあるのは大きなグミの木、桜、紅葉の樹に緑たち。人口的な音は何一つ聞こえてこない贅沢な空間です。
食後は、同じ与謝野町にある与謝野ロースターで遠赤外線焙煎されたコーヒーと手作りのスイーツを楽しむ「スイーツセット」(800円)を。
コーヒーに添えられたハチミツは庭で暮らす日本みつばち達が採ってきたもの。このハチミツが芳醇で驚きの美味しさ。日本みつばちが一生で採れる蜜の量は小さじ1杯分なんですって!
こちらは完全予約制。前日の午前中までにHPから公式LINE経由で、訪れる日時を相談してくださいね。
■■INFORMATION■■
想造区 Un son doux (アン・ソン・ドゥ)
京都府与謝郡与謝野町岩屋238
カフェFeliz Tiempo(フェリス ティエンポ)
営業時間 ランチ12:00~14:30、ディナー18:00~(要相談)
前日午前中まで公式LINEにて予約を
「花のある暮らし」をテーマにしたカフェで非日常を味わう
【京都市】cachette(カシェット)北白川店

画像提供:cachette
京都芸術大学のすぐ側。北白川通に立つ、不思議な雰囲気を醸し出している白い土蔵が、フランス語で「隠れ家」を意味するcachette(カシェット)です。
古い蔵をリノベーションした店内は「花のある暮らし」をテーマにした、スワッグやリースなどのドライフラワーの専門店と、そしてカフェとなっています。スモーキーな色合いのドライフラワーとアンティーク家具、白い壁が美しく調和し、異世界へと誘ってくれます。

画像提供:cachette
1階ショップのドライフラワーやアンティーク雑貨を眺めながら、奥の階段を上り、2階のカフェへ。天井からドライフラワーが吊るされ、花々に包まれた非日常の空間が広がります。こちらで楽しみたいのは花を使ったドリンクやケーキ。

画像提供:cachette
ぜひ注文してほしいのが、絵画のように美しい「fumée-ヒュメ」(880円)。Fuméeはフランス語で「煙」の意味で、ドライフラワーとしても人気のあるスモークツリーをイメージしたドリンクです。グラスの中に入っているのは、お花をベースにしたノンアルコールジンと綿菓子。小瓶に入った炭酸水を綿菓子にかけると、思いがけない色に変わるのが不思議です。

画像提供:cachette
それからバタフライピーを使ったブルーの「レアチーズケーキ」(660円)。甘さ控え目で食べやすいcachetteのオリジナルレシピで作られたもの。お花が散らされているのも素敵です。

画像提供:cachette
おしゃれな「隠れ家」で、幻想的なスイーツとドリンクを楽しんでみませんか。
■■INFORMATION■■
cachette(カシェット)
京都府京都市左京区一乗寺樋ノ口町8-2
TEL 075-606-5430
営業時間 11:00~19:00
休 水曜、第2・第4木曜
住宅街に突然現れる、趣ある古民家
【亀岡市】no-mu art & meals (ノーム アート アンド ミールズ)

画像提供:no-mu art & meals
JR並河駅から徒歩約10分。“丹波霧”で有名な霧の都 亀岡市の住宅街に突然、現れる立派な古民家が、1日1組限定の1棟貸し別荘の宿を併設したカフェ「no-mu art & meals (ノーム アート アンド ミールズ)」です。
建物は100年以上前に建てられた古民家。周囲は新しい住宅ばかりなので、今まで歩いてきた町の景色とのあまりの違いに、まるで異空間に迷い込んでしまったかのような気分になります。

画像提供:no-mu art & meals
アーティストでもあるオーナーさんが中心となってセルフリノベーションした店内は、古民家の良さが存分に生かされています。

画像提供:no-mu art & meals
さらにアート作品なども飾られ、古さと新しさが調和した美しい空間が魅力です。

画像提供:no-mu art & meals
こちらでいただけるランチの中でも人気は3種類のスパイスカレー。中でも「ブラックキーマカレー」(1,680円)は、地元の野菜とソイミートをベースに、近所にある味噌屋さんの黒豆味噌で作るヴィーガン使用のスパイスカレーです。色が黒いのはオーガニックの竹炭を使っているから。自家製アチャール(漬物)の爽やかな酸味との相性もバッチリ。

画像提供:no-mu art & meals
スイーツは、濃厚な栗クリームと軽やかな食感の組み合わせを楽しむ「イタリア栗のモンブランセット」(1,520円〜)はいかがでしょう。イタリア栗のモンブランは定番ですが、その他に季節限定もあり、冬には白餡にクリームチーズを混ぜ込んだ、真っ白な「柚子香る雪見モンブラン」(1,620円〜)が登場するそうですよ。こちらも楽しみです。

画像提供:no-mu art & meals
優しい光が入る穏やかな空間で、スパイスカレーやモンブランを味わいながら、ゆったりとした時間の流れを楽しんではいかがでしょう。
■■INFORMATION■■
no-mu art & meals (ノーム アート アンド ミールズ)
京都府亀岡市大井町並河2丁目37-8
TEL 0771-55-9285
営業時間 11:30~16:00、土・日曜、祝日は~17:00
休 水曜日