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1泊2日で行く 祝!日本遺産「丹後ちりめん回廊」の旅①

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f:id:kyotoside_writer:20170620235743j:plain京都府北部の丹後地方を訪れると、どこからかガチャン、ガチャンという機織りの音が聞こえてきます。丹後は古くから織物が織られてきた地。特に江戸時代に発祥した絹織物の「丹後ちりめん」は、着物の代表的な生地として、明治頃に大変な人気となり、さらに戦後から昭和50年にかけて「織機をガチャンと織れば、万の金が儲かる」という意味の「ガチャマン景気」といわれ大変、繁栄したんですって!!!
さて、この「丹後ちりめん」に縁あるスポットが『300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊』として、「日本遺産」に、めでたく認定されました~! 丹後地方に今も残る住居と機場が一体となった機屋や商家、三角屋根の織物工場の町並みは風情たっぷり。今回は1泊2日で300年の歴史を歩いてみましょう!

シボが特徴! 丹後ちりめんって、こんな生地

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丹後地方は丹後ちりめんの産地で、主に京丹後市、与謝郡与謝野町。今回の旅の出発点となるのは、京都駅からは電車で2時間半ほどの宮津市。京都丹後鉄道に乗っていくのもいいですね! 宮津市からはレンタカーで回るのがおすすめですよ。

旅に出る前に「丹後ちりめん」についてご説明。丹後ちりめんとは写真でもわかるように、ざらざらっとしたシボが特徴です。このシボの手触りが最大の魅力!  シボがあることでシワがよりにくく、しなやかな風合いが生まれます。織られた白生地は京都市内などに運ばれ、様々な色に染めたり刺繍や友禅の技法で絵が描かれます。

 

1日目前半は、与謝野町で「丹後ちりめん」を知ろう

f:id:kyotoside_writer:20170621205452j:plain宮津市内から車で30分。まず、やってきたのは与謝野町(与謝野町加悦)。明治から昭和初期にかけて「丹後ちりめん」で栄えた町です。今も丹後ちりめんを織る家や、かつての問屋さんなど古い家々が残り、その町並みは「ちりめん街道」として大切に残されています。エリアの広さは東西約240m、南北630m。そこに立っている建物、約260棟のうちなんと約100棟が江戸・明治・大正・昭和初期の建築なんですって!!! レトロな魅力にあふれる、ちりめん街道を歩いてみましょう。

1日目前半のルート

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f:id:kyotoside_writer:20170628122321j:plainアクセス:ちりめん街道(与謝野町観光協会)
京都駅からJRと京都丹後鉄道で「与謝野駅」下車、タクシーで約10分
京都駅からJRと京都丹後鉄道で「宮津駅」下車、レンタカーで約30分

 

街並みが素敵!「ちりめん街道」を歩く

f:id:kyotoside_writer:20170620235754j:plain与謝野町観光協会へ車を停めて旅はスタート(バス停もここにあります)。少し進むと橋が出現しました。こちらは昭和9年に架けられた天神橋。かつて船着き場としての役割もあったそうです。これから、どんな街並みが広がるのかワクワクしてきました。

f:id:kyotoside_writer:20170620235714j:plain古い呉服屋さん(右上)の角を曲がり、さらに左にへ曲がると、ゆるやかにカーブを描く町並みが広がりました。雰囲気たっぷり。最初に目を引いた建物は井筒屋旅館(右下)。明治23年創業、100年以上続く老舗の旅館です。今も営業されているんですって。

 

f:id:kyotoside_writer:20170621001144j:plainその向かい側に立っていたのは、明治築の濵見家住宅。いきなり明治の建物が登場しましたよ! 屋根の上には煙出しの越屋根が付いています。台所が吹き抜けになっていて、かまどの煙があそこから出ていくんですね。江戸中期の建物の雰囲気をよく残した建物だそうです。

f:id:kyotoside_writer:20170620235719j:plainもう、右を見ても左を見ても、古くて立派な家ばかり。その先に現れたのは、元酒蔵の川島家住宅。主要な家々には、左上のような説明の看板が付いています。それにしても、すごいなー! この町には酒蔵があったんだ。それだけ宴会や会合、行事などなどで沢山お酒を消費したってことかしら。他にも化粧品屋や牛肉屋、人力車屋、帽子屋など、さまざまなお店が軒を連ねていたそうです。当時は、とても賑やかだったんだろうなあ。

f:id:kyotoside_writer:20170620235721j:plain左は佐々木家住宅。ふつう、蔵は家の奥に立ってることが多いですが、こちらは街道に面して建っている珍しい造り。なので蔵前工房と呼び、蔵は仕事場として使われているそうです。奥の母屋では、丹後ちりめんで作られた小物などが売られていましたよ。
右下は杉本家住宅。地区内でも大きな住宅なんですって。明治時代の当主が電気会社を設立し、そのおかげで町に電気が通ったそうです。

f:id:kyotoside_writer:20170621001235j:plain道は緩やらかなカーブを描きながら坂を上っていきます。いいお天気で気持ちがいい~♪ 日陰が少ないので散策に帽子は必須ですよ(^_-)-☆

f:id:kyotoside_writer:20170620235717j:plain静かな町ではありますが、歩いていると、あちらこちらから、ガチャン、ガチャンと織機の音が聞こえてきます。家々の軒には「ちりめん街道」と書かれた暖簾が下がり、糸屋格子(格子の上の部分が一定の長さで切られている=切子の本数が3本の格子)があったり、古い糸巻きを利用した風鈴が良い音を奏でていたり、風情たっぷり。そういえば軒下に美しい花を育てている家が多かったなあ。町を大切に守っているんですね。

f:id:kyotoside_writer:20170620235725j:plainさて、坂の上辺りに立っている大豪邸は、街道のシンボル的存在の尾藤家住宅。丹後ちりめんで財を成した豪商だそうです。見学ができるので、中に入ってみました。入ってすぐ、玄関の奥には、大きなおくどさん(かまど、右下)やダイドコ(台所)があって、当時、相当な人数の人が出入りしていたんだろうなあ…と想像できます。そして、座敷が驚くほど広く、廊下はドラマに出てくるお屋敷のように長いのです! さすが豪商! 当時の繁栄ぶりがうかがえます。

f:id:kyotoside_writer:20170620235728j:plainさらに中庭の奥には昭和3年に建てられた洋館までありました。こちらは甲子園球場を設計者・今林彦太郎さんの助言を受け設計した建物だとか。内部はとてもロマンチックなので必見です。 乙女チックなレトロ建築探訪inちりめん街道 でも紹介しているので、ぜひ、こちらも読んでくださいね。

 

f:id:kyotoside_writer:20170621000857j:plainはあ~尾藤家はとても素晴らしい建物でした(うっとり)。尾藤家を出て、圧倒されたまま角を曲がると一層渋い建物が出現。右側の建物群は街道で最も古い下村家住宅。何棟かのうち一番古いのは江戸時代、文化元年の建物だそうです。かつて加悦郵便局も担っていました。郵便局で打たれる電信は、価格の動きが激しい生糸相場の情報をいち早く知る手段として重宝されたんですって。郵便局へ行くために、この道を沢山の人が行き来したんでしょうね。

f:id:kyotoside_writer:20170621001511j:plainそして、よーく見ると側面の窓には面白い格子(手前)が。これは機屋窓と呼ばれ、街道の撮影スポットなので、ぜひ記念写真を(^_-)-☆

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235729j:plainお寺や神社を通り過ぎ、旧伊藤医院診療所のお隣、「縮緬発祥之地」の石碑が建つこちらは、丹後ちりめんの始祖・手米屋小右衛門さんの本家(杉本家)。小右衛門さんは京都の西陣で門外不出とされていた、ちりめんの技法を学んで帰り丹後に広めた人物のひとり。主屋は江戸時代の建物を大正時代に移築。2階に虫籠窓があけられています。
ところで、この白壁の角を通り過ぎようとしたら、ガチャン、ガチャンと織機の音が。音につられて角を曲がると…

f:id:kyotoside_writer:20170621001555j:plainこの風景に、びっくり! ここは西山工場といって、丹後で唯一現存する明治時代のちりめん工場なのだそうです。明治時代に3棟の工場が建てられ、第1工場から第2工場を渡り廊下でつないでいたそう。空中をケーブルで結んでいた名残が残っていました。外から様子が見られるので、ぜひ立ち寄りたいスポットです。

f:id:kyotoside_writer:20170621001634j:plainさてさて、この辺りまでが、ちりめん街道の様子。途中、何軒か「見学できます」という張り紙をしている機屋さんがありました。今度は見学してみたいなあ。
さて、今度は行と違う道を歩いたり、細い路地をのぞいたりしながら、元の観光協会へ戻りましょう。

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235740j:plain与謝野町観光協会へ戻ってきました。観光協会の建物は、昭和初期に建てられた旧加悦町役場庁舎。窓や壁の飾りがレトロでカワイイのです。よく見ると窓の支えに糸巻きを使っている様子。丹後ちりめんの町なんだなあ…と改めて関心。

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235706j:plainそして、こちらでは土・日曜、祝日の9:30~16:30のみオープンする花皆憧喫茶室があります。地下湧水を使って淹れたコーヒーが美味なんです。予約をすると、丹後ちりめんで作られたクロスを敷いて、おもてなしをしてくれます。ちなみにレースのカーテン替わりに使われているのは、織物で使う紋紙。小さな丸穴から柔らかな光が入ってきます。

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235631j:plainそして夏にぜひ、食べてほしいのが、かき氷! レトロなかき氷機で一杯ずつ削ってくれるました。氷はものすごく細かくて粉雪のよう。口に入れると、じわ~っと広がる食感が新鮮でした。味は、いちご、メロン、みぞれがあり各200円。プラス30円でイゴやバナナなどがトッピングできちゃいます。テイクアウトもできるので(プラス20円)、散策しながら食べるのもいいですね。

 

一足伸ばして ―あのギザギザの三角屋根は何?

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f:id:kyotoside_writer:20170620235731j:plainちりめん街道から車で走ること10分。赤い瓦屋根のレトロな木造の建物が現れました。こちらは明治36年創業の丹後ちりめんの旧大啓産業の建物を生かした丹後ちりめん歴史館。丹後ちりめんについて知ることができます。レトロな建物だなあ…なんて入ってみたら、びっくり! ノコギリのようなギザギザの屋根の建物があるではありませんか。

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235736j:plainこのノコギリ型の建物は昭和2年に建てられた織物工場。なぜ三角形なのかというと、直射日光が入るのを防ぐためなんだとか。直射日光が当たると手元に影ができ、絹糸が乱反射して見えにくくなってしまうんですって。でも三角屋根の垂直面には大きな窓が設けられているので、程よく手元が明るく照らすそうです。中では江戸時代中期から伝承されてきた絹織物の織工程や希少な資料の見学ができました。

f:id:kyotoside_writer:20170620235750j:plainさらに、実際にジャガードという織機が動いている様子を見たり、機械が動く音を体感することができます。そうそう、先ほどの花皆憧喫茶室でレースのカーテン代わりに使われていた紋紙を発見!左側で束になっているのが紋紙。こうやって使うんですね。

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235746j:plainこれは、撚りをかけた緯糸(よこいと)を管に巻く機械。しかし、先ほどのジャガード機。1台動いているだけでも、すごい音なんです! 説明してくださった今井浩助さんに「すごい音ですね!!」と言うと、「私たち丹後の子は、お腹の中にいるときから、この音を聞いていたので、機音が聞こえるとかえってスヤスヤと眠ったそうですよ」とのこと。さすが、丹後の子!

 

f:id:kyotoside_writer:20170620235738j:plain丹後ちりめん歴史館では、ショップも併設されています。シルク商品や丹後ちりめん、また白生地もびっくりするほどの値段で買うことができます。お母さんには、ペイズリーが織り出されたシルクロングスカーフ(1650円)をお土産に。先程のジャガード機で織られていたものだそうです。それから繭で作った石鹸(800円)と入浴剤(150円)。クラスや職場の人たちへのお土産にも良さそう💛 左はシルク浴用タオル(1200円)。しっとりスベスベになると人気だそうで、スカーフにする人もいるそうです。さて続いては、宮津市内に移動しますよ。

 

次回、1泊2日で行く 祝!日本遺産「丹後ちりめん回廊」の旅②へと続きます!
どうぞお楽しみに!! 

 

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