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伊根花火 〜海と舟屋と花火が織り成す幻想世界〜

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去る8月26日の夜…京都府北部、舟屋群の町・伊根で行われた「伊根花火」。
伝統的建造物である舟屋群をバックに1200発の花火が打ち上がる京都府内屈指の美しい花火で、夏の最後を締めくくるに相応しい、伊根の夏の風物詩となっています。
町の人々にとってこの日は、1年の中で最もワクワク、ソワソワする日なのだそう。
伊根に住む方達にとっても“特別な日”だという、伊根花火の一日を追いました。

 

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もう何度かKYOTOSIDEでも取り上げている京都府与謝郡伊根町。
いつ行っても、海辺ギリギリに舟屋がズラリと建ち並ぶ、美しい光景に圧倒されます。
周囲5キロの伊根湾を取り囲むようにして立つ230軒の舟屋。1階が船のガレージ、2階が二次的な居室となっています。周囲を山に囲まれている伊根湾の中には日本海の荒波が入ってこないこと、湾の入口にある青島という無人島が防波堤の役割を果たしていること、潮の干満差が非常に少ないというこの3つの条件が、このような奇跡の景色をつくりあげています。

 

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伊根に到着したのは午前中。せっかくなので、伊根のまち歩きを楽しんでみました。
海辺に立つ舟屋、道路を挟んで山側にある主屋(おもや)が向かい合って立つ、伊根の町並みはこの2つで1セット。海側に舟屋と並び立つ土蔵には、縁起が良い文字や絵をモチーフにしたレリーフ・鏝絵(こてえ)があったり、漁師の神様である恵比寿さまの瓦が掲げてあったり…このような町なかアートを見つけながら散策するのもこの町の楽しみ。
町をそぞろ歩きしていると、時折住人の方にも出逢います。「こんにちは」「花火を見に来られましたか?ここの花火はとてもキレイなんですよ。」と、話題はやはり伊根花火。お年寄りから子どもまで、住民の皆さんもみんな楽しみにしていました。

 

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町なかを歩いていると、「舟屋見学」の看板を発見!しかも、無料でどなたでもお入りくださいとあったので、中に入ってみました。舟屋は個人所有地ですので普通は中に入れませんが、このように見学できる場所もあるのですね。ここは、ここは海上タクシー「亀島丸」さん所有の舟屋。ちょうど、自宅へ戻られていた船長の山田さんにお会いし、船に乗せてもらうことができました。

 

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穏やかで優しい語り口の山田船長のガイドで伊根湾内を巡り、海上タクシー&遊覧船の醍醐味・カモメやウミネコへの餌やりもしっかり体験♪
本日は伊根花火についてもガイドがありました。
「地元住人も楽しみにしている花火で、伊根湾の真ん中から打ち上げます。三方を山に囲まれているため、一発の花火がやまびこで何発かの花火のように音が聞こえます。連続してあがると迫力がありますよ。」
また、
「遠方から親戚の方もこの日に合わせて帰って来る、伊根の一大イベントです。夕方から、住人が協力して御神燈(ごじんとう)というお祭りの提灯を各舟屋の先に掲げます。伊根湾内が幻想的な雰囲気になるんですよ。」
これは…夜がますます待ち遠しくなりました^^

 

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海上より、花火の観覧メイン会場となる場所が見えました。夜の開催に向けて、着々と準備が行われています。
青白のテントは新鮮な海鮮やご当地名産が頂ける屋台群。クレーンに吊られているのは、なんと映画を上映するためのスクリーン!花火が打ち上がる前のお楽しみで、洋上スクリーンによる映画上映も行われるのだそう。この伊根町はじめ近隣の町にも映画館がありません。大きなスクリーンで映画が見られることを、地元の子ども達はとても楽しみにしているそうです。

 

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花火を打ち上げるのは20回目。どのようなキッカケで始まったのでしょうか?
元々、地元の商工会青年部が子ども向けのイベントを行っていたのですが、「どうしたらもっと子どもたちに喜んでもらえるか…そうだ、花火を打ち上げてみよう!」という当時の部長さんの発案で始まったのだそうです。が、初めての試みで分からないことだらけ。花火業者さん探しから始まり、商工会の繋がりや知人をたどり、業者さんと出逢い、自分達で協賛金を集めて最初に打ち上げたのは50発。
打ち上げ数こそ少ないけれど、この出来事は商工会メンバー、そして伊根の人々にとって、大きな出来事でした。

 

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1軒1軒、協賛のお願いにまわり頭を下げる商工会青年部メンバーの実直な努力の結果、毎年少しずつ協賛が増え、徐々に規模も大きくなり、打ち上げる花火の数も500、700と増えていき、現在は1200発もの花火を打ち上げられるまでになりました。現在は実行委員会を組み、町をあげて取り組む大イベントとなっています。今の伊根花火実行委員を務める若手職員には、この町で育ち、伊根花火をワクワクしながら見て育った少年達がいます。彼らは大人になり、伊根花火の実現に奔走し、現在の開催運営を支えています。

 

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 夕方になると、花火のメイン会場は人で溢れ出します。浴衣姿の子ども達もたくさん。屋台のかき氷を口いっぱいにほおばり「花火まだ〜?」と言いながら無邪気にコロコロと笑う子ども達は本当に可愛らしい。
伊根花火は舟屋と花火という他では見られない情景で行われる花火のためファンが多く、地元のみならず、近隣の町や京都市からなども観光客がやってきます。例年5500人ほどの見物客が訪れるそうですよ。

 

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日が落ちると、ポツポツと舟屋に灯りが灯りだしました。
舟屋にかかっている灯りが「御神燈(ごじんとう)」という提灯。オレンジのライトアップが湾内を照らし出し、辺りは徐々に熱気と静寂という、なんとも言えぬ不思議な雰囲気に包まれていきます。

 

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 夜の20時半…ドンという大きな音が湾内に鳴り響き、それまでの静寂を打ち破るかのごとく夜空を彩る大輪の花火が打ち上がりました。
伊根湾の中央に浮かべた台船から5号玉、7号玉、10号玉、連発花火スターマイン…さまざまな大きさの色とりどりの花火が打ち上げられていきます。
オレンジ色の灯りがともる舟屋の町並みと花火の饗宴…そして、それが水面にも映り、幻想的な光景が広がります。

 

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音の迫力もすごかったです。湾になっているので音がこもり、山に囲まれているため音が響き合う…距離的にも非常に近く見えるという、まさに地形的にここでしか見られない花火。大迫力の30分でした。
特に、今回はこの花火大会の開催の背景と地元住民の思い、運営側の努力を知ってから見たため、花火がより大きく、美しく見えました。まさに、夏の終わりの締めくくりに相応しいもの。
伊根花火実行委員会メンバー・上辻さんの言葉が印象的でした。
「土台を作ってくれた人達に感謝し、未来につなげる花火を打ち上げたい」
伊根花火は、来年また大輪の花を洋上に咲かせるべく、この花火を愛する人々の手によって今後も守られていくことでしょう。来夏の開催をまた楽しみにしたいと思います。

 

ドキュメンタリー「伊根花火の一日」も、お楽しみください^^
↓↓


伊根花火大会

■■INFORMATION■■

伊根花火実行委員会
TEL:0772−32−0277

伊根町商工会
京都府与謝郡伊根町字亀島429
TEL:0772-32-0302
http://ine.kyoto-fsci.or.jp

海上タクシー 亀島丸
京都府与謝郡伊根町字亀島822
TEL:0772−32−0585/090−8579−1002
http://kameshimamaru.server-shared.com

 

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