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京都・城陽の和紅茶〜抹茶の原料「碾茶」で作るまろやかな甘さ!〜

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私たちの普段の生活に溶け込む紅茶。「紅茶=海外」というイメージが強いですが、実は日本国内でも紅茶の生産が行われています。今回は、抹茶の原料となる「碾(てん)茶」で作る和紅茶の販売に取り組む兄弟の活動を通じて、京都の和紅茶の魅力をお伝えします。

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・基本的な感染予防対策(マスクの着用・手洗い・身体的距離の確保など)を徹底してください。
・屋外の活動も慎重にしてください。
・発熱等の症状(発熱、咳、のどの痛み、息苦しさなどの症状)がある場合は、外出を控えてください。

和紅茶と外国産紅茶の違いってなに?

明治時代から始まった和紅茶の歴史

日本の温暖な風土で育てられた茶葉から作られる紅茶は、海外の紅茶に比べ、渋みが少なく優しい味わいが特徴。程良い甘さとスッキリとした後味を楽しめるため、砂糖を加えずストレートで美味しく味わえます。

和紅茶の歴史は、明治時代初期に遡ります。1874年(明治7)には、海外で紅茶文化に触れた内務卿・大久保利通が紅茶を海外輸出品にしようと、紅茶の栽培・製法・研究をまとめた『紅茶製法書』を作成。内務省勧業寮農務課内に「製茶掛」が設けられました。1878年(明治11)には、東京内藤新宿試験場、静岡県静岡、福岡県星野、鹿児島県(現・宮崎県)延岡の4ヶ所に紅茶製造者を増やすための「紅茶伝習所」が設置されています。

こうして和紅茶は、日本の主力輸出品になるべく華々しく生産が始まりましたが、海外に比べるとどうしても品質で劣っていたことなどから次第に下火になり、1971年(昭和46)に紅茶の輸入自由化とともに、産業化への道は一度幕を閉じることに。ですが、この間も和紅茶への思いを持った茶農家さんたちによって、和紅茶の生産技術は絶えることなく続けられていました。

平成に入ると和紅茶への注目が再び集まりはじめ、全国各地の生産者が、その土地ごとの魅力に富んだ、個性豊かな和紅茶づくりに励んでいます。

宇治茶の生産が盛んな京都・山城地域でも、いくつかの生産者が宇治茶の特徴を生かした和紅茶を生産しています。また、和紅茶の販売にも力を入れる事業者さんもいます。その中でも、抹茶の原料「碾茶」で作る紅茶の販売を行っている、合同会社紅々葉(くくは)を取材しました。

「紅茶の香り」と「日本茶の甘み」を両立した京都の和紅茶

兄弟で和紅茶の魅力を伝える合同会社紅々葉

兄の酒井佑眞さん(左)と弟の祐弥さん

城陽市の住宅街の一角にある合同会社紅々葉。兄の酒井佑眞さんと弟の祐弥さん兄弟が代表社員として、京都産和紅茶の販売を手がけています。今回は、弟の祐弥さんにお話を伺いました。

元々、ワーキングホリデーや語学留学の経験があった酒井さん兄弟。自分たちが生まれ育った京都が海外で高い評価を得ていることに驚いたのだそうで、祐弥さんは「そんな京都の魅力を発信する仕事ができないかと模索していたとき、和紅茶と出合った」と話します。

「うちでは、母が食後にドリンクを用意してくれる習慣があって、いつもは地元の日本茶を出してくれていたのですが、その日はたまたま手に入れた京都の和紅茶を用意してくれたんです。初めて口にした時驚きました。紅茶の香りが出ているのに日本茶の甘みもしっかり感じられる。海外の紅茶にはない独特の美味しさ。『これだ!』と思いました(笑)」(祐弥さん)

茶農家が抱える課題解決にも向き合う

和紅茶で茶葉の価値をリブランディング

その後、祐弥さんは、京都産和紅茶の魅力を多くの人に知ってもらおうと、学生時代の20歳の時に紅々葉を創設。2021年には、更なる会社の発展を目指し、兄の佑眞さんと共に合同会社化しました。

茶葉の販売には、何よりも茶農家さんの協力が欠かせません。酒井さん兄弟は山城地域にある茶農家さんの元を訪れ関係を築いていくうちに「茶農家の方々が抱える課題を知った」と語ります。

「現状、お茶の需要低下によって、茶葉の価格が下落しています。2011年から2018年の間だけで約20%も下落しています。さらに二番茶以降の茶葉の価値が一番茶の半分ほどになってしまう課題に直面しています。弊社はそんな二番茶以降の茶葉を和紅茶としてリブランディングして、価値を安定化させることを目指しています」(祐弥さん)

碾茶の甘みを感じられる和紅茶「城陽」

山城地域各地の名前が付いた紅々葉の和紅茶

宇治茶の和紅茶の魅力を引き上げるために、商品名にもこだわった紅々葉。地元の「城陽」をはじめ、「宇治田原」「神童子」(木津川市)、「加茂」と各商品に産地の名前を記しています。なかでも、酒井さん兄弟の思い入れが強いのが、城陽産の碾茶で作る『城陽』です。

「元々、城陽市は碾茶の生育に適した地域として知られ、全国茶品評会で一等一席の農林水産大臣賞を何度も受賞した碾茶が栽培されています。この城陽市産の碾茶をなんとか和紅茶にできないかと、茶農家さんの元を何度も訪れ、栽培方法やこだわりを学び試行錯誤の末、和紅茶『城陽』ができあがりました。」(祐弥さん)

「城陽」は、紅茶の香りを10とすると6くらいで香りは控えめ。それを補うのが、碾茶独特の甘みで、まろやかな味わいが心地良い余韻を運んでくれます。既に「城陽」のファンになった人や他の地域へのお土産に『城陽』を購入する地元の人もいて、反響は上々。ただ生産量に限りがあるため、現在販売は休止中なのだそうです。今年の秋には再販を目指しているとのことなので、気になる人は公式WEBSITEをチェックしてくださいね!(『城陽』以外の茶葉は購入可能です。)

今回ご紹介した『紅々葉』さん以外にも、京都府内には和紅茶の生産や販売を行っている方がいます。それぞれにこだわりを持った和紅茶を飲み比べするなどして、新しい京都の魅力に触れてみませんか。

■■INFORMATION■■
合同会社 紅々葉
TEL:0774-54-3266
住所:京都府城陽市寺田市ノ久保2-580(事務所)
※上記住所では販売は行っていません。お問い合わせは、電話または公式HPからお願いします。

cucuha-kyoto.com

 

 

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