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宇治川の鵜飼を徹底解説!今秋復活を目指す“放ち鵜飼”は日本で唯一!!

京都を代表する夏の風物詩のひとつ、「宇治川の鵜飼」。毎年7月~9月までの期間、夏のエンターテイメントとして人気を博しています。
今回、お話を聞かせていただいたのは、女性鵜匠の沢木万理子さんと、この秋、鵜匠デビュー予定の見習いの鈴木奈緒美さん。
今秋復活を目指す、日本で唯一の“放ち鵜飼”をメインに、鵜飼についてのアレコレを徹底解説します!!

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まずは宇治川の歴史と場所について

宇治川に架かる宇治橋

近畿の水瓶・琵琶湖を源とし、瀬田川、宇治川、桂川、淀川と名を変えてやがては大阪湾へと流れ込みますが、天ヶ瀬ダム上流部から桂川・木津川合流部付近までを宇治川と呼びます。

豊かな歴史と文化が息づく宇治市を流れる宇治川。周辺には、平等院や宇治上神社といった平安王朝美を伝える世界遺産を擁し、風光明媚かつ神秘的なロケーションが魅力です。

まるで絵巻物の世界!宇治川の鵜飼とは?

「宇治川の鵜飼」は、毎年7月~9月の期間に行われる夏の京都を彩るエンターテイメントで、現在、鵜飼は全国で宇治川を含めて11か所で行われています。

鵜飼とは1200年以上も昔の平安時代より続く古典的な漁法のひとつ。追い綱(鵜匠と鵜をつなぐ長さ約4メートルの綱)を身体に付けた鵜を6羽、鵜匠が川に放ち、篝火の灯りに誘われて集まってきた魚を鵜が捕まえます。
その後、鵜匠が鵜を引き寄せて、喉元の綱で留まった魚を吐かせるというもの。見物客は客船(屋形船)に乗船。鵜舟が客船を回りながら鵜飼を披露します。

宇治川の鵜飼は、宇治川の本流と支流の間に位置する府立宇治公園の付近で行われ、宇治川の支流と塔の島に架かる赤い橋(喜撰橋)のたもとから乗船します。

平安時代から続く古典漁法「鵜飼」の歴史

もともと古典漁法である鵜飼は、王朝人の優雅な船遊びとして人気を博していました。ところが、鵜飼は貴族の衰退とともにやがて宇治から姿を消してしまうことに。
現在の鵜飼が再興したのは大正15年のこと。以来、京都の夏の風物詩として地域の人々や観光客に親しまれてきました。

鵜と鵜匠、船頭で!抜群のチームワークで最高のパフォーマンスを

昼間に鵜小屋へ訪れると様々な表情に出合える

鵜飼に使われる「鵜」は渡り鳥で「ウミウ」という種類。鵜飼では、カワウよりも身体が大きく丈夫なウミウを使っています。鵜はペリカンの仲間なので、喉が袋状になっているのが特徴です。
茨城県日立市で捕獲された鋭いくちばしとツメを持つ野生のウミウを鵜飼ができるように、鵜匠たちは宇治の地で愛情込めて育ててきました。

鵜匠の装束。上から風折烏帽子、藍染めの漁服と胸あて、藁を束ねた腰簔(みの)を付け、手には追い綱を持つ

現在、宇治の鵜匠は3名(男性1名、女性2名)と見習い1名(女性)。女性鵜匠が複数在籍して活躍しているのは、日本でも宇治川だけ!

今回、お話を聞かせていただいた女性鵜匠の沢木万理子さんは、全国で3番目の女性鵜匠で、2014年には、なんと、全国初のウミウの人工育雛を手がけたお方です。
もともと鳥好きの沢木さん。学生時代に見た鵜匠に憧れ29才の時に鵜匠の世界へ飛び込みました。ペットももちろん鳥!「ヨウム」という大型のインコを飼っており、24時間鳥と一緒に過ごすほどの無類の鳥好き。

鵜匠になって21年目のシーズンを迎えた沢木さんに今のお気持ちを聞いてみました。

「根底にある鳥が好きという気持ちは全然変わっていません。最初の頃は自分のことで精一杯でしたが、今は宇治川の鵜飼を後世に残したいという思いが強くなっています。『鵜飼を残していくにはどうしたらよいのか』が自分にとっても大きな課題ですね」

沢木さんは宇治市観光協会の職員さんでもあり、鵜匠と観光協会のお仕事を兼業しています。17時30分までは観光協会の事務のお仕事、シーズン中はそれを終えてから鵜匠のお仕事に向かいます。

乗船中に鵜匠が鵜飼の歴史や鵜の生態、鵜匠のお仕事についても解説してくれる

鵜飼の魅力について、沢木さんはこう語ります。
「歴史ゆかしく風光明媚な宇治川に篝火を焚いて繰り広げる鵜飼の様子は、平安時代にタイムスリップしたかのような、絵巻物の世界を味わっていただけます。鵜が魚を飲み込むところや、鵜匠の複雑な技法で鵜を操る様子を、船頭さんの巧みな竿さばきによって、間近でご覧いただけるので迫力満点、臨場感たっぷり!です」

鵜たちのごはんタイムも鵜匠が担当!小屋の中にあるプールの中に餌となる魚をバケツでドバッと入れる。喰い負けしている鵜がいないか細心の注意を払う

船頭さんは、沢木さんの師匠にあたる松坂善勝鵜匠。現在宇治川の鵜飼で一番の経験を持つ鵜匠で、今は船頭として鵜飼を支えています。
「松坂鵜匠は鵜のことも鵜匠のこともすごくよく理解しています。三者の息がぴったり合うことがとても大切なんですよ」と沢木さん。
抜群のチームワークが織りなす最高のパフォーマンスをぜひお楽しみください!

日本唯一の「放ち鵜飼」復活に向けて!国内初のウミウの人口ふ化成功がきかっけ

宇治川で起こった奇跡

卵を発見してから27日目の朝にふ化

鵜はとても神経質な鳥のため、野生のウミウは飼育下では産卵しないと言われていました。しかし宇治で奇跡が起こります。2014年春、宇治川の鵜たちが初めて卵を産みました。

「鵜飼いの鵜は一代限りだと誰しもが思っていました。それがある日、鵜小屋に卵が転がっていたんです。誰かのいたずらかと思ったほど信じられない出来事でした」(沢木さん)

中州に佇む鵜小屋。季節を問わず鵜たちに出合える

宇治の「ウッティー」が誕生!今では11羽に

左が野生の鵜。右がウッティー。野生の鵜に比べて少し小柄で羽の色は茶色っぽい

産まれた卵は、ふ卵器という卵を温める機械に入れ人工ふ化を試みました。人工ふ化も前例がなく、手さぐりの状態ながらも、なんと無事にふ化に成功。一組つがいができたことで、次々にカップルができ、今までに11羽が誕生しました。

人工ふ化で産まれた鵜は「ウッティー」と名付けられ、地域の人々からも親しまれています。
「ふ化の瞬間は毎回感動しますが、1回目は純粋に感動しました。何度か経験すると心配の方が多くなりました。ふ化するまでの間ってとても危険が多いですが、ふ化した後のヒナも予断は許しません。生後10日まで致死率が高いので24時間体制で見守ります。また、地元の獣医さんたちも親身になってくださっているので心強いですね」(沢木さん)

ウッティーによる放ち鵜飼プロジェクト始動

放ち鵜飼とは、鵜に追い綱を付けずに自由に魚を捕獲させ、その鵜を鵜匠が呼び寄せる鵜飼の漁法のひとつ。国内では2001年まで島根県で行われていました。

沢木さんは、人工ふ化で生まれたウッティーたちは人を怖がらず、より人に慣れやすい性格で、とっても「愛嬌」があることに気付きました。「ウッティー」と呼べば鵜匠のもとへ戻ってきます。
そのことがきっかけで、かねてより興味のあった放ち鵜飼にチャレンジすることを沢木さんは決意!宇治生まれのウッティーたちによる放ち鵜飼プロジェクトを立ち上げます。

会場となる太閤堤

2022年秋の実現を目指して、昨年の秋から会場となるお茶と宇治のまち歴史公園内の「史跡宇治川太閤堤跡」で鋭意トレーニング中。沢木さんに苦労した点を聞きました。
「デリケートなウッティーたちを車に乗せて太閤堤まで移動すること、知らない場所に慣れることがまず大変でしたね。ウッティーたちは怯えてぶるぶると震え、慣れるまで何か月もかかりました。ようやく太閤堤に慣れたヨカッタ!と、鵜匠みんなで喜んでいたところ、その次は、『ウッティー』と呼んでも全く帰ってこないほど、太閤堤がお気に入りの場所となってしまい遊ぶのに必死で(笑)今は、なんとか戻ってくるまでになりました」

「お茶と宇治のまち歴史公園」は京阪宇治駅からすぐ

放ち鵜飼いの魅力は、鵜に追い綱を付けない以外にも宇治川の鵜飼と違う魅力があります。それは、昼間の明るい時に開催すること、お客さんは舟には乗らず岸から見物すること。さらに、宇治川の水量に左右されないので、安定して開催できること。
お年寄りや身体の不自由な方、小さな子どもでも安心して気軽に楽しめますね。

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宇治川の鵜飼を未来へと繋ぐ

今年生まれたウッティーのヒナと鈴木さん。生後20日頃になると魚のペーストを注射器で与えるほか、水に入った魚の切り身をついばむ練習もする

宇治川の鵜飼を未来へと繋ぐお一人が、見習い中の鈴木奈緒美さん。沢木さんの鵜飼の格好良さに魅せられ鵜匠の道を志し4年目です。
ウッティーとの深い信頼関係を築き上げた鈴木さんは、放ち鵜飼専任の鵜匠に就任、この秋デビューします。

今年生まれたウッティーは1羽。徐々に仲間たちと慣れるように、ヒナのうちから鵜小屋へご挨拶

「私の大好きなウミウは、まだあまり知られてないので、鵜匠のお仕事を通じてウミウの魅力をもっともっと発信したいです。歴史ある宇治川の鵜飼、歴史を繋ぐ一員としても頑張っていきたい、デビューしたら私とウッティーの絆をお客様にしっかりとご覧いただきたい」と意気込みを語ってくれました。

2022年秋より新たなる宇治観光の柱となる、宇治生まれのウッティーたちによる放ち鵜飼は、宇治川の鵜飼を未来へと繋ぐ取り組みのひとつ。ぜひ、見物にお越しください!!

 

■■INFORMATION■■
宇治の鵜飼
2022年の開催期間は7/1~9/30
※荒天および天ヶ瀬ダムの放流による増水時、またコロナウイルスの感染拡大の際には中止の場合あり
0774-23-3334(宇治市観光協会)
乗合船の出船時間や乗船場所について、詳しくはコチラから▼
https://www.kyoto-uji-kankou.or.jp/













 

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