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時代劇のロケ地「流れ橋」は“知恵”が詰まったスゴイ橋だった!

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京都府南部に「流れ橋」と呼ばれる橋があるのをご存知でしょうか? 実はこの橋、名前の通り流れることを想定して作られたちょっと変わった橋なのです。今回はそんな流れ橋に注目してみました。

「流れ橋」ってどんな橋?


「流れ橋」は、八幡市と久御山町を結ぶ橋として一級河川・木津川に架けられた木造橋です。正式名称を「上津屋橋(こうづやばし)」といい、橋の大きさは全長356.5m×横幅3.3m。木造橋としては日本最大級の大きさを誇り、現在も歩行者専用道路として活用されています。

木津川の左岸側には、千年以上の歴史を有する石清水八幡宮があり、江戸時代から明治時代の中頃までは、両岸地域に「上津屋村」というひとつの農村も存在したことから、参拝者や生活を営む人々の往来が多数ありました。川を渡る方法として、当時は渡し船が使われていましたが、より利便性の高い橋の建設を求める地元の強い要望があり、1953(昭和28)年に造られたのが「上津屋橋」です。
この橋の構造上、河川が増水すると橋桁と橋板が流されることから「流れ橋」と呼ばれるようになったそうです。


自然の中にドーンと架かる橋の迫力とは裏腹に、橋の見た目は実にシンプル! 橋には欄干(らんかん)がなく、丸太で組んだ橋脚の上に橋桁を渡した素朴な形状と周辺の茶畑からなる風景は、日本の原風景を思わせる景色として時代劇のロケ地にも使われている人気の観光スポットです。


夕焼け時には、こんなノスタルジックな光景を見ることができますよ。

どうして流れるの? 意外とシンプルな「流れ橋」の仕組み


それでは流れ橋とよばれる由来にもなった橋の仕組みはどのようになっているのでしょうか?
よく見てみると、橋の両側にはワイヤーロープが通されています。


橋の下にまわってみると、ワイヤーロープは橋脚に繋がっている様子…。実は、これが流れ橋のポイントなのです!!


流れ橋の橋板・橋桁は13のブロックでできており、橋桁は橋脚に固定されていません。そのため河川の水位が橋桁・橋板まで上昇すると、そのまま水に浮かんで流される仕組みになっています。しかし、橋桁・橋板は橋脚とワイヤーロープで繋がれているので流失することはなく、水位が低下した後、流れた橋桁・橋板を再び橋脚にのせることで復旧することができるのです。


この橋が造られた1953(昭和28)年は、まだ戦後間もない頃であったため、限られた予算で洪水被害の少ない橋を作る必要がありました。そのため、たとえ橋が流されても、一から作り直す必要がなく、“復旧できる橋”となるよう当時の職人達が知恵を絞って造ったのが「流れ橋」だったというわけです。

流れ橋だけじゃない! 近隣の観光スポット

上津屋の浜茶


流れ橋の周辺に広がる美しい「浜茶」の茶畑は抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)の産地。浜茶とは、山間部で栽培するお茶を「山茶」と呼ぶのに対し、水辺の砂地で栽培するお茶を「浜茶」と呼びます。浜茶は品質が良く、松のような濃い緑をした独特のお茶になるのが特徴。二重に覆下して育てることで苦味や渋みがなく、甘く優しい味になるのだそうですよ。
この辺りは「流れ橋と両岸上津屋・浜台の『浜茶』」として文化庁認定の日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」になっています。

木津川サイクリングロード


嵐山から木津川市まで、桂川、木津川沿いに整備された全長45kmのサイクリングロード。桂川・宇治川・木津川の三川合流部にも繋がっており、正式名称を「京都八幡木津自転車道」という、関西屈指のサイクリングスポットとして知られています。京阪電車「石清水八幡宮駅」前でレンタサイクルを借りてサイクリングを楽しむのもおすすめです。

こちらの記事でお茶の京都サイクリングロードを紹介しています▼
https://www.kyotoside.jp/entry/20201104/

やわた流れ橋交流プラザ四季彩館


流れ橋近くにある「やわた流れ橋交流プラザ四季彩館」は宿泊や入浴施設のほか、貸館・体験などが出来る施設です。施設内には新鮮野菜を販売するJA農産物直売所に加え、野菜を中心としたレストラン「八幡家」もあり、地元の野菜をふんだんに使ったランチビュッフェを楽しむことができます。

「流れ橋」の仕組みはいかがでしたか? 当時の職人達の知恵が詰まった昔ながらの趣を残す、風光明媚な流れ橋に出かけてみませんか。

■■INFORMATION■■

流れ橋(上津屋橋)
住所:京都府八幡市上津屋宮前川端
電話:0774-62-1731(京都府山城北土木事務所)
アクセス:京阪本線「石清水八幡宮」駅から京阪バスで約15分。「上津屋流れ橋」下車、徒歩約5分。または、京奈和道「田辺北IC」から約10分。

やわた流れ橋交流プラザ四季彩館
住所:京都府八幡市上津屋里垣内56-1
電話:075-983-0129
営業時間:10:00~21:00
休館日:夏休み期間を除く毎週月曜日と年末年始
※月曜日が休日の場合は、その翌日以降の休日でない日。
HP:http://www.shikisaikan.co.jp/

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