えびいも、堀川ごぼう、聖護院かぶなど、冬の京野菜が美味しくなる季節がやってきました。なかでも京のふるさと産品協会が特に優れた品質を持つものとして認証している、おせち料理や冬のおもてなし料理に使える「ブランド京野菜」をご紹介します。
子孫繁栄の縁起物
えびいも
出回り時期:10月上旬~2月下旬/主な産地:京田辺市、京丹後市
京都の冬を代表する野菜の一つです。誕生は江戸時代の安永年間(1772~81)。青蓮院宮が長崎から持ち帰った里芋の種を宮に仕えていた平野権太夫が育てたところ、皮にシマ模様がある海老のような形をした芋がとれるようになり、えびいもと名付けられました。キメが細かく、味を含ませながら火を入れると、まったり、こっくりとした味わいになるのが魅力です。
親芋から沢山の子芋が付き、さらに孫芋まで増えていくので子孫繁栄の縁起物とされ、京都では、おせち料理の煮しめに加えられます。また、棒ダラと炊いたおばんざいの「いもぼう」も有名。気軽に食べるなら素揚げにして塩をかけ、熱々のうちに食べるのも美味しいですよ。
良い芽がでるようにと願いを込めて
くわい
出回り時期:12月上旬~12月下旬
かつて京都における、くわいの産地は京都市南区の東寺周辺だったのだとか。この辺りは井戸を掘ればすぐ水が湧きだすような低湿地であったため、水生植物であるくわいや染料にする藍の栽培が行われていました。
丸い塊茎(かいけい)から芽が伸びるので「芽(目)が出る」縁起物として、京都のおせち料理には欠かせません。独特のほろ苦さがあり、加熱するとホクホクした食感になるので、煮ものや鍋物にしたり、チップスにするのもおすすめです。
未来が見通せますように
堀川ごぼう
出回り時期:10月上旬~12月下旬/主な産地:舞鶴市、京丹後市
豊臣秀吉が京都に建てた邸宅・聚楽第。しかし豊臣氏滅亡後、堀には周辺の住民たちが野菜屑などを捨てるようになっていました。そんなある日、農民が堀の中で芽を出したとても太いゴボウを発見。2年越しで栽培する方法を考え出したのが始まりといわれています。
中に大きな空洞があることから「未来が見通せる」「将来の見通しが良くなる」ようにとの願いを込めて、京都ではお正月にもいただきます。太い胴の部分は肉や海老などを詰めて煮物に、先端の細い部分は食感が良いのでキンピラなどにするのもいいですよ。
角がなくて縁起が良い
聖護院かぶ
出回り時期:11 月中旬~2 月下旬/主な生産地:亀岡市
江戸時代、京都市左京区聖護院の篤農家・伊勢屋利八が近江かぶの種子を持ち帰り、改良を重ねてできたのが、聖護院かぶです。
京の冬の風物詩である「千枚漬」の材料としても知られ、その純白でまん丸な姿が縁起が良いと、お正月にも食べられます。肉質が柔らかくいので、かぶら蒸しや煮物、炒め物、サラダなど幅広く利用することができます。
おでんにお勧め
聖護院だいこん
出回り時期:11月中旬~2月下旬/主な生産地:久御山町、亀岡市、京丹後市
江戸時代の文政年間(1818~30)に尾張の国から奉納された長大根を京都市左京区聖護院の篤農家が栽培を繰り返すうちに、カブのように丸くて大きな大根がとれるようになりました。このダイコンは当時、栽培されていたものより品質が良く、京都の土に合ったことから一帯で急激に栽培が広がり、さらに「聖護院だいこん」の名で京都各地でも栽培されるようになりました。
こちらもチェック!久御山町の淀大根
中でも特に久御山町の東一口(ひがしいもあらい)地域で栽培されているものは「淀大根」としても出荷されています。
甘くて苦みが少ない上、キメが細かくて煮くずれがないので、煮込むと口の中でとろけるような食感になるのが魅力です。