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京都府のディープな博物館・資料館~古代のロマン編~

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権力者を埋葬するために造られた巨大な古墳。ここには副葬品として埴輪や装飾品、土器、石器などさまざまな物も一緒に入れられました。そして現代に発掘され、当時の生活や文化を知る手掛かりとして、研究は今も進められています。どうやって造ったのか、どのような意味のあるものなのか……。謎の多い古代には浪漫がいっぱい! 今回は京都府で見られる古代の出土品を展示している資料館をご紹介します。教科書だけでは分からない大昔の文明を覗いてみましょう。

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丹後王国のはじまりと終わりを追体験できる

【京丹後市】丹後古代の里資料館

写真提供:京丹後市教育委員会

京丹後市にある「丹後古代の里資料館」は、赤坂今井墳墓や扇谷遺跡、網野銚子山(あみのちょうしやま)古墳、神明山(しんめいやま)古墳など市内で出土した考古資料や美術工芸品を展示・保管しています。

網野銚子山古墳は日本海側最大の前方後円墳で、その全長は201m。ここに埋葬されたのは、弥生時代後期~古墳時代前期に勢力をふるった丹後地域の有力者だと考えられています。また、神明山古墳は、網野銚子山古墳に次ぐ全長190mの前方後円墳。この2つの古墳は国の史跡に指定されています。

写真提供:京丹後市教育委員会

丹後古代の里資料館の常設展示では、かつて丹後地域に存在した「丹後王国」の成立から発展、消滅までの歴史がわかる構成になっていて、見ているだけでも古代の世界にタイムスリップした気分になってしまいそうです。

写真提供:京丹後市教育委員会

館内は、丹後型円筒埴輪や土器、石器、ガラスで作られた装飾品、銅鏡など古墳から出土したものが数多く展示されています。
また、資料館周辺の古墳を比較した図や、丹後地域に残る伝説と関連するスポット、当時の暮らしを再現したジオラマなども見られます。さまざまな角度から古代の歴史を学ぶことができるので、歴史に詳しくない人でもわかりやすい展示になっていますよ。

写真提供:京丹後市教育委員会

ちなみに、丹後地域で多く製造されていた丹後型円筒埴輪は、上が丸くすぼまり、穴が開いているのが特徴。古墳時代前期(3~4世紀)から作られていましたが、中期(4世紀末~5世紀)から徐々に姿を消し、他地域でも見られるまっすぐで穴の開いていない円筒埴輪にシフトしていったのだとか。およそ100年の間になぜ形を変えたのか、理由を考えてみるのもおもしろいですね。

写真提供:京丹後市教育委員会

こちらは赤坂今井墳墓で発見された頭飾り。赤坂今井墳墓は弥生時代末期に国内最大級を誇った墳墓で、ここに埋葬されていたのは女性と推定されています。出土した頭飾りには、ブルーやグリーン系のガラス玉の装飾が施されていて、身分の高い人であったと考えられているのだそう。

写真提供:京丹後市教育委員会

また、資料館の隣には発掘成果を元に、弥生時代の集落跡を再現したスペースが。ここには竪穴式住居や高床式倉庫など、教科書で見たことがあるものばかり。思っていたより大きいか、それとも小さく感じるか……。実際にご自身の目で見て確かめてみてください。

■■INFORMATION■■
京丹後市立丹後古代の里資料館
場所:京丹後市丹後町宮108番地
電話:0772-75-2431
時間:9:30~16:00
休館: 火曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始
料金:大人300円、小中学生150円
HP: https://www.city.kyotango.lg.jp/kodainosato/

見て・触って・制作できる!体験型の公園&資料館

【与謝野町】古墳公園・はにわ資料館

写真提供:与謝野町教育委員会/古墳公園全景

与謝野町にある与謝野町立古墳公園は、大型古墳の国史跡「蛭子山(えびすやま)古墳」と国史跡「作山(つくりやま)古墳」を1600年前の状態に復元・整備した歴史公園です。

写真提供:与謝野町教育委員会/蛭子山古墳

蛭子山古墳は4世紀後半に、作山古墳は4世紀後半から5世紀初めにかけて築造されたと言われています。蛭子山古墳(1号墳)は、日本海三大古墳の1つに数えられ、墳長はなんと145m!ここから出土した舟形石棺は京都府指定文化財に指定されています(展示あり)。
ちなみに蛭子山古墳があるエリアは広く、階段もたくさんあるので、体力がある序盤で周ることをお勧めします。

写真提供:与謝野町教育委員会/作山1号墳・はにわ資料館

作山古墳は前方後円墳1基、円墳2基、方墳2基の合計5基で構成されていて、このすべてを合わせて国の史跡に指定されました。作山1号墳にも石棺が展示されているので、散策気分で見学してみましょう。
そして、隣接する「はにわ資料館」では、蛭子山古墳・作山古墳から出土した埴輪や装身具などを展示・保管しています。

写真提供:与謝野町教育委員会

先述した丹後型円筒埴輪もずらり。しかも上部がさまざまな形をしているので、比較しながら見るのも面白いかもしれません。また、古墳公園に並ぶ埴輪はレプリカですが、こちらは発掘された本物の埴輪。製作時の風景や古墳に並んでいた当時を想像するとロマンがあふれますね。

写真提供:与謝野町教育委員会

ほかにも犬やイノシシのような形のミニチュア土製品も!こちらは現代でも通じる芸術性を感じます……!ちなみに館内は写真撮影が可能です。おうちで振り返りたい!という方にはうれしいですよね。また実際に触ることができるコーナーもあるので、ぜひ本物の感触を体感してください。

写真提供:与謝野町教育委員会

さらに、はにわ資料館にはマスコットキャラクター「はにごん」もいますよ♪ イベント時に登場するので、ぜひ一緒に写真を撮ってみましょう。

写真提供:与謝野町教育委員会/まが玉づくりのようす

そして、こちらではまが玉づくりや土笛づくり体験も実施中。まが玉は軟らかい石を紙やすりで削りながら、おなじみの形に整えていきます。約1時間で完成するので、お子さんでも楽しめますよ……というよりも大人の方がはまってしまうかも!?
体験はどちらも1セット500円、持ち帰っておうちで作る場合は300円です。いずれも予約が必要なので、事前にお問い合わせください。

■■INFORMATION■■
古墳公園・はにわ資料館
場所:与謝郡与謝野町字明石2341
電話:0772-43-1992
時間:9:00~17:00
休館: 月曜(祝日の場合は翌日休)※12~2月は月・火曜(月曜が祝日の場合は火・水曜休)、年末年始
料金:大人300円、小中学生150円
HP:与謝野町立古墳公園

山城地域の歴史を網羅できる!

【木津川市】ふるさとミュージアム山城(京都府立山城郷土資料館)

写真提供:京都府立山城郷土資料館

木津川市にあるふるさとミュージアム山城(京都府立山城郷土資料館)では、恭仁宮や高麗寺跡(こまでらあと)、椿井(つばい)大塚山古墳などの山城地域(※)の文化財を中心に展示しています。
椿井大塚山古墳は、古墳時代前期の中でも最古といえる前方後円墳で、現在のJR奈良線の工事中に発見されました。
※山城地域……京都市を除く京都府南部。7市7町1村。

写真提供:京都府立山城郷土資料館

その時に出土した石室からは、邪馬台国の女王・卑弥呼の鏡とも言われる「三角縁神獣鏡」(写真左)30数面をはじめ、さまざまな副葬品が発見されました。日本の歴史上最大の謎ともいえる“邪馬台国”が存在した場所は、九州説や近畿説などさまざまですが、その謎を解明するにあたり、この三角縁神獣鏡の発見は大きな注目を集めました。
また、同館で展示されているのはレプリカで、三角縁神獣鏡を含む椿井大塚山古墳から出土した現物は京都大学総合博物館で展示されているそう。

写真提供:京都府立山城郷土資料館

こちらは相楽山遺跡から出土した「袈裟襷文銅鐸(けさだすきもんどうたく)」。銅鐸は弥生時代に造られていたもので、鐘のように鳴らして使われていたと考えられています。また“袈裟襷文”とは銅鐸の表面の模様が、僧侶が着る袈裟襷に似ていることから名づけられています。ちなみに銅鐸は青銅製。出土したものは錆などの劣化で青緑色に見えますが、造られた当初は金色なのだとか。配合されている金属の違いはありますが、十円硬貨も青銅製なんですよ。

写真提供:京都府立山城郷土資料館

写真は城陽市の久津川車塚(くつかわくるまづか)古墳から出土した長持形石棺。これは底、側面、蓋の6枚を組み合わせた石棺で、近畿の大型古墳で多く見られるのだそう。同館で展示されているのはレプリカで、こちらも先述の京都大学総合博物館にありますよ。
また、出土した久津川車塚古墳は、約150基からなる古墳群の中の一つで最大規模を誇ります。さらに古墳群そのものも、宇治市南部~城陽市北部にかけて広がる京都府内最大の古墳群! いかに古代の山城地域が発展していたのかが分かりますね。

写真提供:京都府立山城郷土資料館

ほかにも、古墳時代後期に造られた城陽市の冑山(かぶとやま)古墳群の出土品も展示されています。写真にあるのは人物埴輪や円筒埴輪、家形埴輪、土器、装飾品など。

写真提供:京都府立山城郷土資料館

そしてこちらでは「こども体験教室」が夏に実施されます。写真は「ミニ銅鐸をつくろう」(900円)。このほかにも勾玉やミニ三角縁神獣鏡づくり体験もありますよ。自分で作れば形や模様などより細かいところを観察するきっかけになりそうですよね。

写真提供:京都府立山城郷土資料館

さらに、外に出て裏山へ行くと復元された竪穴式住居が見られます。ほかにも、1年を通して多数のイベントも開催しているので、気軽にチャレンジしてくださいね。

■■INFORMATION■■
ふるさとミュージアム山城(京都府立山城郷土資料館)
場所:木津川市山城町上狛千両岩
電話:0772-75-2431
時間:9:00~16:30
休館: 月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始
料金:大人200円、小中学生50円 ※特別展示は大人250円、小中学生70円
HP: https://www.kyoto-be.ne.jp/yamasiro-m/cms/

 

丹後王国について深堀した記事はこちら↓

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