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麗しの秘仏に国宝も!石仏の里でプレミアムな仏像ハイキング

f:id:kyotoside_writer:20171117174938j:plain京都府南部の木津川市。その中でもさらに南。奈良との県境付近にある当尾(とうの)の里には沢山の磨崖仏や石仏、古刹があると聞いていたので、ぜひ一度歩いてみたかったのです。今頃はきっと紅葉の美しい季節のはず。「石仏と紅葉」という組み合わせもステキだろうなぁ、というわけで台風一過のある秋晴の日、歩いてきました。

 

電車とバスに揺られて1時間ちょっと

f:id:kyotoside_writer:20171117214144j:plain京都市内から訪れるのには時間がかかるのかなと思っていたのですが、JR京都駅から快速電車を乗り継いで約1時間。加茂駅からコミュニティバスに乗り代えて集落や山の中を走ること15分で岩船寺(がんせんじ)バス停に到着。京都駅から1時間ちょっとで自然豊かな「当尾」に到着しました。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117213847j:plain木津川市は奈良のすぐ隣(緑のところ)。中でも一番奈良寄りにある当尾から若草山や東大寺までは車ですぐ。ここ当尾は、奈良時代に大和で栄えた南都仏教の影響を色濃く受け、南都の僧侶が修行に打ち込むために都から少し離れたこの地で暮らしたといわれています。
そんな当尾の里には磨崖仏(まがいぶつ。岩壁に直接彫られた仏像)や石仏が点在。特に岩船寺から浄瑠璃寺までの約3キロの道のり「石仏の道」ととしてハイキングコースになっていて、磨崖仏や石仏、お寺を拝観しながら歩くことができるのです。

f:id:kyotoside_writer:20171117174109j:plainハイキングのスタートは岩船寺。平安時代を代表し、多くの文化財を有する寺院です。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174105j:plain岩船寺の名の由来は、この門前にある岩船から来ているのだとか。修行僧が身を清めるためのお風呂だったそうです。ちゃんと水抜きの穴もありましたよ。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174121j:plainそして岩船寺で何より目を引くのは室町時代に造られた、この三重塔。重要文化財に指定されています。この三重塔、なんと

f:id:kyotoside_writer:20171117214411j:plain四隅の垂木を赤鬼が支えているのです。踏ん張っている姿が、かわいいー! よーく見ると褌を締めておられるのですよ。
それから本堂も拝観できました。ご本尊は阿弥陀如来坐像。平安時代を代表する仏像として知られ、重文に指定されています。趣のあるお堂の中に座られた阿弥陀様は3mもあり、伏し目で丸顔をされた優しいお顔でした。

f:id:kyotoside_writer:20171117214457j:plainまた境内には重要文化財に指定されている石室不動明王立像が。一枚石の屋根をかけた花崗岩の立派な石室の中におられるのは、薄肉掘りの不動明王。鎌倉時代の作だそうです。※重要文化財

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174102j:plainじっくり拝観したいところですが(見どころが沢山なのです)、まだハイキングはスタートしたばかり。先を急ごうとお寺を出ると、参道には茶店や吊り店が。吊り店とは農家などが自分の家で取れた野菜や加工品を吊って販売している店のこと。全国にある吊り店の元祖は、ここ当尾だそうですよ。私たちも先を急ごうといいながら、珍しい野菜や漬物に釘付け。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174732j:plainそして、そのまま草餅に惹かれて茶店で休憩(今、スタートしたばかりなのに)。
岩船寺はアジサイの花が有名なお寺ですが、秋は紅葉が美しいし、今はちょうどお茶の花(左上)が可憐な咲をつけ、ムラサキシキブ(右下)が美しい頃。水はとっても澄んで美しく、茶店の草餅も美味しくって、かなり癒されました。

 

山道を歩くのは気持ちがいい

f:id:kyotoside_writer:20171117174656j:plainさて、トイレも行って準備万端(ここでトイレに行っておくのがおすすめ)! 仕切りなおして、いざハイキングスタートです。途中にちゃんと道標もあるので大丈夫(でも、地図や掲載の地図アプリはあった方が◎)。まずは三体地蔵をめざします。
お寺の横の道を進むと、あっという間に山道へ。落ち葉に覆われた道はふかふかで歩きやすいです。

f:id:kyotoside_writer:20171117214816j:plainどんぐりを拾ったりキレイな落ち葉を見つけながら歩くこと10分。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174650j:plain山道を降りた旧道沿いの岩肌に「三体地蔵」がおられました。童顔の優しいお顔をしたお地蔵様で、三体とも宝珠と錫杖を持っておられます。 ※京都府有形指定文化財

 

f:id:kyotoside_writer:20171117214938j:plainそこから大きな通りに出ると現れたのが

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岩に線で掘られた弥勒仏線彫磨崖仏。ちょうど辻にあることから通称ミロクの辻とも呼ばれ、ここで旅人が健脚を祈ったと言われています。それにしても、この大きさ伝わるでしょうか。こんなに大きい岩があるなんてびっくり。当尾は花崗岩の岩石が豊かな地なのだそうです。

f:id:kyotoside_writer:20171117174633j:plainここから田んぼなどの脇を歩いて山道へ入って行きます。途中の景色も抜群。15分ほど歩き、階段を下りた先にあるのが、今日の4つめのポイント

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一願不動こと岩船不動明王立像。その名の通り、ただ一つだけの願い事を一心に願えば、叶えてくださるのだとか。高さ1.2mの大きな磨崖仏ですが、風月にさらされ大分摩耗していました。近くに寄ると右手には剣を持ち憤怒のお顔をされていました。※京都府有形指定文化財

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174546j:plainさらに先ほどの道に戻り、もう少し先にある階段をどんどん降りて行き、宇宙船みたいな形をしたびっくりするほど大きな岩の間を抜けた先に現れたのが

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174533j:plainわらい仏。これは、絶対に見たかったのです。正式名称は岩船阿弥陀三尊磨崖仏。京都府の指定有形文化財で当尾の代表的な石仏の一つです。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174522j:plain中央は阿弥陀様。左右は観音菩薩と勢至菩薩。永仁7年(1299)の銘文があります。優しく微笑む仏様を見ていたら、こちらまで笑顔になってきました。これを掘った方は、どんな思いで彫ったのかしら。石仏の中には願主(依頼した人)や掘った人が誰か分かるものもあります。
さて、この先、カラスの壺二尊磨崖仏あたご灯篭を見て歩くこと40分で浄瑠璃寺に到着。足に自信のない方は、わらい仏から岩船寺に戻り(約20分)バスで浄瑠璃寺に向かうのもいいですよ。

 浄瑠璃世界を表わすお寺へ

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浄瑠璃寺の門前には大きな駐車場とトイレも完備されています。そしてお寺に行くまでの間、数軒のお土産屋さんや食事処が並んでいて魅力的。
しかし歩いたので暑い~!そこで私たちが立ち寄ったのは風情ある門構えの「あ志び乃店」。こちらでは山菜そば定食やとろろ定食など食事がいただけますが、栗アイスと抹茶アイスをいただき、お土産に自家製のお漬物と青じその実の塩漬けを購入。帰ってから食べるのが楽しみです。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174446j:plainさて、のどかな雰囲気の参道を歩き山門へ。浄瑠璃寺は薬師如来坐像を安置する三重塔(左上)と中央の宝池、西側の本堂から成り立っている美しいお寺です。 ※国宝

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174425j:plain朱塗りの三重塔を外から拝見した後、本堂へ。足を踏み入れるなり驚きました。中央に丈六像(224cm)の中尊、周囲に半丈六像(139~145cm)8体という、九体阿弥陀如来像(国宝)がズラリと並んでいて、そのお姿は圧巻の一言。一つのお堂に九体仏を安置しているのは、日本で唯一だそうですよ! 
ちなみに来年(平成30年)夏から5年ほどかけて九体阿弥陀如来像が修復に入るそう。全員並んだお姿を拝したい方は夏までにぜひ訪れてください。

f:id:kyotoside_writer:20171117174341j:plainさらに、この日は、年三回ある秘仏・吉祥天女像の特別公開日。小さなお逗子に入ったお美しい女神さまで、「一度は観たい」と言われている仏様です。ちなみに秋の公開は11月30日までなので、ご覧になりたい方はお早目に。記念に吉祥天女さまが描かれた絵馬を買ってまいりました。※重要文化財

美味しいお蕎麦に舌鼓

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沢山歩いて、お寺も拝観したのでお腹がすいてきました。そこで浄瑠璃寺のすぐ側に立つ蕎麦屋さん吉祥庵さんへ。明治時代築の奈良の民家を移築した建物で、かつて茶道具としての茶碗などを作っていた工房を蕎麦屋さんに改装。ゆえに趣味がとてもよく、雰囲気が素敵なのです。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174353j:plain出てきたお蕎麦は、とてもきれい! 細切りで、汁は関東風。これまた大きく美しいニシン甘ろ煮と共にいただきました。本当はお酒(純米大吟醸がありました)もいただきたいところだけれど、今日はぐっとがまん。お蕎麦は人気で数に限りがあるので、召し上がりたい方は早目に訪れてくださいね。

最後まで石仏を堪能

f:id:kyotoside_writer:20171117174329j:plainさぁ、元気が湧いてきたところで、もう少し見て回ることに。
吉祥庵の前をさらに行くとあるのが長尾阿弥陀磨崖仏。連弁の台座に座り、両手を腹部の前で∞形にした定印の阿弥陀です。造られたのは1307年。ずっとここに座り人々の往来見守ってこられた仏様です。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174320j:plain今度は浄瑠璃寺まで戻り、北へ。まさに藪の中に藪の中三尊磨崖仏がおられました。ここちらの磨崖仏は元々、浄土院という塔頭の本尊であったともいわれています。中央に地蔵と十一面観音、向かって左に阿弥陀を配する非常に珍しい配置の石仏です。作者は橘派の橘安縄、1262年彫刻とあります。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174311j:plainそこから道を入っていくと今度は首切地蔵というなんとも怖いお名前のお地蔵様が。正式名称は東小阿弥陀石龕仏で、藪の中三尊と共に在銘石仏では最古のものだそうです。首切り地蔵の別名は、昔処刑場にいたからとも。一時姿を消し都会に出ておられましたが、村人によって戻されたのだそうです。

 

f:id:kyotoside_writer:20171117174257j:plainさらに行くと、山道の中に大門石仏群がありました。室町以降の石仏で竹藪の中や細い山道にあったものを集めて安置しなおしたものです。双体仏や石龕仏、六字名号板碑や五輪板碑などがあり、変化に富んでいました。

先もまだありそうですが、本日はこれにて浄瑠璃寺に戻りコミュニティバスへ。コースは整備されているとはいえ、やはり暮れてからは道が分かりにくくなるので明るいうちに歩くのがおすすめです。

 

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さて、家に帰ってからの晩酌はこれ。あ志び乃店で買った漬物と青じその実の塩漬けを肴に一献。青じその実の塩漬けは水で洗って塩を落としてご飯などに混ぜておにぎりにすると美味しいのだそうすが、あまりにも香りがいいので、そのままいただくことにしました。豚しゃぶの薬味などにしても美味しかったですよ。

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▲今回歩いたルートはピンクの部分

歴史と自然を感じることができた今回のハイキング。今回は南側を歩きましたが、北側にもまだまだ石仏やお寺に神社などがあるそうで、春になったら行ってみたいと思いました。
みなさまぜひ、訪れてみてくださいね。

  

岩船寺
京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43
℡ 0774-76-3390
拝観時間 8:30~17:00(12月~2月は9:00~16:00)
拝観料 大人400円・中高生300円・小学生200円

 

浄瑠璃寺
京都府木津川市加茂町西小札場40
℡ 0774-76-2390
拝観時間 9:00~17:00(12月~2月は10:00~16:00)
拝観料 400円・小学生150円

あ志び乃店
京都府木津川市加茂町西小札場56
℡ 0774-76-2791
営業時間 10:00~16:00
不定休

吉祥庵
京都府木津川市加茂町西小札場77-4
℡ 0774-76-4007
営業時間 11:00~売り切れ終了
水曜休

 

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