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京都府立植物園を大解剖!日本最古の公立植物園が開園100周年  

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京都府立植物園

画像:京都府立植物園(右上・右下)

1924(大正13)年1月1日に開園した京都府立植物園が、2024年の今年、100周年を迎えました。現在、約1万2,000種類の植物を栽培しており、その数は国内でもトップレベル。その中には絶滅危惧種などの珍しい植物も。
春は芽吹きの時期、そして桜やチューリップなど、色とりどりの花々が咲き誇る季節です。ここで改めて京都府立植物園の歴史を紐解き、見どころとともに解説します!

京都府立植物園・100年の歴史

日本初となる公立植物園として100年前にオープンした京都府立植物園ですが、その始まりから見ていきましょう。

京都府立植物園100年の歴史

画像:京都府立植物園

元々この土地は養蚕が盛んで、「錦部里(にしごりのさと)」と呼ばれていました。織物の神さまが鎮座する上賀茂神社の境外末社「半木(なからぎ)神社」の鎮守の森と、田畑が広がる自然豊かな土地だったのです。
大正時代に、天皇の即位記念として内国博覧会が計画され、この場所が会場候補地になりましたが、さまざまな理由で博覧会計画を断念。代替案として「大典記念京都植物園」の設置へと変更されました。
※大典記念:天皇の即位の大礼を記念すること

京都府立植物園100年の歴史

画像:京都府立植物園

その頃、東京では都市公園の先駆けとして日比谷公園などの近代公園が造成されていました。京都でも、一般庶民が楽しめる公共施設として、“日本一の植物園”を造ろう!となったのです。
第一次世界大戦など戦争によって造営に影がさしますが、京都出身の実業家らの協力のもと、完成に至ります。
そして、1924(大正13)年1月1日、一般有料開園が始まりました。開園当初は、京都や近畿地方の山地から収集した植物、海外の植物園から取得した種子や植物などを展示していたそうです。

詳細な設立の経緯については、こちらをご覧ください

京都府立植物園の見どころ

園内MAP

画像:京都府立植物園

日本最古の公立植物園は、100年の歴史の中で京都府民に愛されながら、展示する植物の数や展示エリアを増やしていきました。
年間の来場者数は86万人超。この数は国内の公立植物園の中ではトップクラスと言われています。
入園料は一般200円(中学生以下は無料/一部施設で追加料金あり)、この金額で楽しめる植物園の見どころをピックアップして紹介していきましょう。

日本最大級の「観覧温室」

観覧温室

京都府立植物園の中でここはまず外せません。さまざまな熱帯植物を観賞できる「観覧温室」です。(入室には温室観覧料として一般200円が必要)
外観は、池に浮かんだ金閣寺と北山連峰のシルエットをイメージしたそうで、優美なデザインですね。

観覧温室

画像:京都府立植物園

約4,694平方メートルの巨大な温室の中は、砂漠サバンナ室やジャングル室など8つの部屋に分かれ、回遊式に巡っていくとさまざまな熱帯植物との出合いが待っています。
展示されている熱帯植物は約4,500種類。国内初展示のものや、初開花の植物も多く存在していることから、名実ともに日本最大級の観覧温室と言われています。
2021年には植物園が30年間取り組んできた世界最大の花「ショクダイオオコンニャク」(画像右下)の開花にも成功しました。食虫植物展などの企画展も充実しており、国内外からも注目されている温室です。

日本各地の山野の植物が大集合!「日本の森・植物生態園 」

日本の森・植物生態園

画像:京都府立植物園

京都府庁開庁100周年記念で造成された「日本の森・植物生態園 」では、樹木林、湿地や砂地などさまざまなエリアに分かれ、約1,000種類もの植物を見られます。
ここで見られるのは、フクジュソウ(早春)やミズバショウ(春)、キキョウ(夏)、フジバカマ(秋)など、四季折々、私たちの暮らしに身近な草花や樹木です。
こちらを散策していると、ふるさとの山や川を懐かしく思い出しそうです。

絶滅危惧種などの貴重な植物が見られる「四季 彩の丘」

四季 彩の丘

画像:京都府立植物園

水路や池、丘を擁し、季節ごとの植物の彩りを楽しめる「四季 彩の丘」では、英国風庭園や中国植物園など、海の植物もエリアに区切って展示しています。日本の絶滅危惧種の植物を集めた絶滅危惧種園もこちらにあり、四季ごとにさまざまな貴重な植物を見ることができます。
夏には、数多くの品種のハスが展示される「観蓮会」もこちらで開かれます。

お年寄りから子どもまで大人気「大芝生地」

大芝生地

画像:京都府立植物園

園内中央に位置し、広大な緑の芝生が15,000平方メートルに渡り広がる「大芝生地」。
晴れた日には、お弁当やおやつ持参でピクニックにくる人々も多く、お年寄りから子どもまで、訪れる人の憩いの広場となっています。
クラフトマルシェや府民交流フェスタなどの大きなイベントも、この大芝生地で開催されています。

シンボルロードの「けやき並木」と開園当初の面影を残す「くすのき並木」

「けやき並木」と「くすのき並木」

画像:京都府立植物園

植物園の正門前に整然と並び立つ、樹齢100年に近い52本の「けやき並木」(左)は、植物園のシンボルロードと言われています。紅葉の季節になると、ケヤキは赤く紅葉し、新緑の時期とはまた異なる美しい光景を見せてくれます。

そして、もう一つのシンボルロード「くすのき並木」(右)は、開園当初に植えられた樹齢100年を超える75本もの立派なクスノキの並木道です。川端康成の小説『古都』の中にも「京都植物園の楠の並木」として、何度も登場するんですよ。

園内唯一の自然林「なからぎの森」

なからぎの森

画像:京都府立植物園

古くは「流れ木の森」と呼ばれていた、園内唯一の貴重な自然林「なからぎの森」(左)。
大小4つの池に囲まれた森林エリアで、森の中央には植物園の歴史のブロックでも出てきた、上賀茂神社の境外末社「半木神社」(右)も存在しています。
植物園がある下鴨の地に昔からある植物や、エノキやムクノキ、シイやカシなどの樹木が混成しています。
秋になると、池の周りのカエデ類が紅葉し、園内でも屈指の美しい紅葉スポットとなります。

ビル・ゲイツの寄贈本も!「きのこ文庫」

きのこ文庫

画像:京都府立植物園

こちらの可愛いキノコたちは、ベニテングタケをモチーフにしたきのこ型の収蔵本棚で、「きのこ文庫」(正式名称:平安の郷こども文庫きのこの家)と呼ばれています。
子ども向けの絵本などが約2400冊ほど収蔵されており、入園者は誰でも自由に手に取って楽しむことができます。
2023年に、アメリカのマイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏が寄贈した「人生最高の本5冊」が発見されたことがニュースになりました。なんと、こちら日本で唯一の寄贈先だったそうです。

季節ごとに見られる京都府立植物園の花や植物 

季節ごとに、さまざまな花や植物が見られる京都府立植物園。
こちらのブロックでは、過去にKYOTO SIDEで取り上げた内容を中心にご紹介します。

春に見られる植物と花

府立植物園の桜とチューリップ

春といえば、なんといっても桜ですね。京都府立植物園といえば、180品種・500本の圧巻の桜の森で知られています。この品種の数は、全国でもなかなか類をみない多さだそう。
植物園内は、お弁当の持ち込みや桜の木の下でのお花見がOKなので、さまざまな桜に囲まれての植物園ならではなお花見をお楽しみください(ただし、アルコールは持ち込みNGです)。

府立植物園の桜について詳しくは、こちらの記事をチェック


府立植物園の桜

ちなみに、日本ではなぜこんなにも桜が愛されているのでしょう? どうして京都には桜の名所が多いのか、お花見といえばソメイヨシノなのはなぜ?など、桜に関するさまざまな「なぜ?」を、京都府立植物園の樹木医さんから教えてもらいました。

こちらの記事も、ぜひお読みください

府立植物園のバラ

画像:京都府立植物園

5月上旬から6月上旬にかけては、バラが見頃を迎えます。
ばら園があるのは、植物園の南側、正門の東側。こちらではモダンローズを中心に、約320品種、1400株のバラが見られます
京都にちなんだ「金閣」「大文字」「貴船」といった名前のバラや、イギリスのエリザベス女王の戴冠にちなんで名付けられた「クイーン エリザベス」など、色も形も異なるさまざまな美しいバラが咲き誇ります。

京都府立植物園のバラについて紹介しています

夏に見られる植物と花

府立植物園のひまわり

画像:京都府立植物園

7月上旬から8月上旬にかけて、京都府立植物園では約20品種500本のひまわりを見ることができます。写真を見てもわかるとおり、ひまわりは品種によって雰囲気がガラリと変わります。
草丈4メートル近くもある巨大ひまわりが集う花壇や、ひまわりの品種を比較しやすく並べた花壇など、花の特徴を活かした植物園ならではの展示を、ぜひご覧ください。

京都府立植物園のひまわりについて紹介しています

秋に見られる植物と花

府立植物園のヒガンバナ

画像:京都府立植物園

9月中旬から下旬にかけて、桜林や水車付近を中心に、園内のいたるところでヒガンバナが見られます。赤のみならず、白花(シロバナマンジュシャゲ)や、ヒガンバナによく似た黄色い花を咲かせるショウキズイセンも、初秋の植物園を彩ります。

京都府立植物園の彼岸花について紹介しています

府立植物園のコスモス

画像:京都府立植物園

10月中旬から11月中旬頃に見頃を迎えるのは、コスモスです。植物園会館前や北山広場、洋風庭園で約15品種、4000〜5000株ものコスモスが花を咲かせます。
中には、八重咲きの珍しい花型の「ダブルクリック ローズボンボン」、花弁の多い花色混合の変り咲き種「サイケ」など、あまり見かけない珍しい品種も見られますよ。

京都府立植物園のコスモスについて紹介しています

府立植物園の紅葉

秋の京都へ紅葉狩りに訪れる方へぜひおすすめしたいのも植物園です。
京都府立植物園には、“世界三大紅葉樹”と呼ばれる「ニッサボク」「スズランノキ」「ニシキギ」や、植物園イチオシの紅葉の木であり国内最大クラスの「フウ」など、一般にはあまり知られていない、珍しい紅葉する樹木や植物がたくさん植栽されています。

京都府立植物園の紅葉について紹介しています

府立植物園の紅葉

桜と同様、京都が紅葉の名所と言われていることには、ちゃんと理由がありました。
京都の紅葉が美しいのはなぜか?それには、①自然環境と、②歴史&文化という2つの側面が関係しています。

京都の紅葉について、植物園にお話を伺いました

 冬に見られる植物と花

府立植物園のツバキ

画像:京都府立植物園

12月から4月にかけて、品種によりますが、植物園北部にある「つばき園」にて、古典品種から現代の品種まで約250品種600本のツバキが開花します。
ツバキは古くから日本で親しまれてきた花のひとつで、江戸時代には盛んに品種改良がおこなわれ、現在では数え切れないほどの品種が存在しています。ゆえに開花時期も異なり、花色や咲き方も多用多種。それぞれの椿の違いを眺めながら好みの品種を見つけてみてくださいね。

京都府立植物園のつばきについて紹介しています

コラム:『源氏物語』に出てくる植物も

京都府立植物園と源氏物語

画像:京都府立植物園

過去に府立植物園より提供いただいた画像を使用します
現在、大河ドラマでも話題の紫式部が書いた日本最古の長編物語『源氏物語』。全五十四帖の中には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの植物が登場します。その数なんと100種類以上。
京都府立植物園には、源氏物語に登場する植物が数多く植えられており、年間通してさまざまな植物を観賞することができます。

詳しくは、こちらの記事を読んでみてください

現在開催中の100周年記念 & これから開催される春のイベント

現在、京都府立植物園で開催中の100周年イベントやこれから開催される春のイベントについて、職員さんに見どころをお聞きしました!

100周年気分を盛り上げてくれる復刻制服でお出迎え

100周年法被

画像:京都府立植物園

園内では、100年前の復刻制服を着用した職員さんたちが100周年気分を盛り上げてくれます。
濃紺色の法被は、残っている資料に記された『ハッピ(半纏(はんてん))で、襟の左右に「京都植物園」、背に「植」という大きな文字が染め抜いてあった』という情報と、正面から撮られた当時の写真を元に、室町時代から伝わる伝統工芸である「印染」の技法で製作されています。
素材から染、色合いなどほんまもんにこだわって仕上げられた復刻制服には、日本一の植物園を目指した当時の意気込みと、さらに次の100年に繋いでいこうとする職員さんたちの思いが込められています。

観覧温室内「ラン室」がリニューアルオープン

ラン室

画像:京都府立植物園

100周年を記念して大幅にリニューアルされたラン室。リニューアルされた部分は大きく2つあり、1つはランの壁面展示です。高さ2メートル×幅5メートルの金属網と岩でできた壁では、滝のように迫ってくるランの迫力ある展示が楽しめます。
現在、自然下では根を露出した状態で岩や樹木に張り付いて成長する「バンダ」というランが展示されており、擬似的に自然下に咲く様子を見ることができます。

ラン室フォトスポット

画像:京都府立植物園

2つ目は新しく設置されたフォトスポット。これまでは通路が狭く、立ち止まって記念撮影するのが難しかったのですが、フォトスポットが設置されたことで、他の来園者の足を止めずに安心して記念撮影ができるようになりました。
今、見頃を迎えているバンダやシンビジウム、カトレヤを背景に、木製ベンチに座ってカラフルな熱帯の花々に囲まれた写真を撮ることができますよ。

そして見どころは、日本ではほとんど流通していないとても珍しいランの品種! 今回、栽培技術や展示方法などで連携協定を結んでいるシンガポール植物園が作出した、オリジナル品種を含む5品種35株と、現地で入手した16品種が加わりました。
展示されるのは見頃を迎えた品種のみになるので、訪れる時期によってさまざまなランを楽しむことができます。

夜桜ライトアップがバージョンアップ!

府立植物園の桜ライトアップ

画像:京都府立植物園

180品種・約500本の桜を有する京都府立植物園では、毎年3月下旬から4月上旬にかけて夜桜ライトアップが行われています。今年はさらに趣向を凝らし、キャンドルナイトイベントも開催!華麗にライトアップされた夜桜とキャンドルアートに酔いしれるひと時を過ごすことができますよ。
詳細については公式HPでの告知をお待ちください。

牡丹の名産地「大根島(島根県)」のボタン展

府立植物園のボタン

画像:京都府立植物園/ボタン展イメージ画像

419日から開催されるボタン展では、日本一のボタン苗の産地である大根島の100株を超える鉢植えボタンが順次登場します。現地以外では、なかなか見ることができない品種を見ることができる、またとない機会ですよ。

府立植物園のボタン

画像:京都府立植物園/※ボタン展イメージ画像

そんな貴重なボタンをより楽しむための基礎知識を職員さんにお伺いしたところ、ボタンは約1300年前に原産地の中国から伝来し、もともと薬用として用いられていたそうです。
4月末から5月上旬に見頃を迎え、20~30cmの大輪の花の気品高く優雅な姿は「百花の王」「富貴花」などと称され、古くから文学作品や絵画、家紋などに描かれてきました。また、美人を形容する「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉があるように、ボタンの灌木でこんもりした樹姿が座る姿の美しさに、近縁種のシャクヤクのすらりとした草姿が立ち姿の美しい女性に例えられたようです。

ボタン展では、開催直前に花のコンディションを見ながら展示されるので、どのような品種が並ぶのか楽しみにしてくださいね。

京都府立植物園からのメッセージ ~100周年からその先へ~

京都府立植物園

京都府立植物園は、多くの貴重な経験と知識を蓄積しながら長い歴史を築いてきました。
この100年で四季折々の美しい植物を通じて府民の方々の憩いの場となったこの場所を、今後もさらに魅力あふれる植物園として発展させ、より幅広い世代の方々に学びと癒しの場として、さらに笑顔あふれる植物園を目指していきます。

季節を彩る美しい植物の魅力と合わせ、次の100年に向けて進化していく京都府立植物園の変化を楽しみにしてください。

◾️◾️INFORMATION◾️◾️

京都府立植物園
所在地:京都市左京区下鴨半木町
電話:075-701-0141
時間:9時~17時(入園は16時まで)※季節によって変動あり
休業日:12月28日~1月4日
料金:一般200円、高校生150円、中学生以下無料
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩すぐ、または「北大路駅」から徒歩10分
駐車場:150台(有料)
https://www.pref.kyoto.jp/plant/index.html

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